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※嘔吐描写注意 「ゆっくり食べてね!」 どこかの場所、いつかの時間。 一匹のゆっくりが、一心不乱に大量の何かを食べ続けている。 その様子を、イスに腰掛けてじっと見つめる男が一人。 「はぐはぐはぐはぐがふがふがふがふがふむちゃむちゃむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……」 汚らしい食べ方のためにゆっくりの周りはぐちゃぐちゃになっていたが、そんな事は気にもせず、延々と食べ続けるゆっくり。 男もその様を叱る事もなく、ただじっと眺めていた。 「がふがふがふがふむちゃむちゃむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……ゆげふ! ゆげぇぇぇ……」 不意に、ゆげゆげとアンコと何かの混じったものを吐き出すゆっくり。 びちゃびちゃと先ほど食べていたものを汚していくその音は、人間のするそれと全く同じものである。 違うのは、吐き出すものの色が黒い事と、発するのが甘い臭いだという事だけだ。 「ゆげぇぇぇ……え”ふっ! ゆ、ぜびぃ……ぜびぃ……ゆぅ……がふがふがふがふむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……」 ある程度吐いて落ち着いたゆっくりは、また山を崩す作業に戻った。 食べすぎで吐いたというのに何故か更に食べるゆっくりをこのまま放置しておけば、吐き戻しすぎて死ぬだろう。 だが、死へ確実に近づいているゆっくりを止める事もなく、男はじっと見続けている。 「がふがふがふむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……ゆげぇ! え”ろ”ろ”ろ”ろ”ろ”ろ”……」 案の定、もう限界を超えているゆっくりは、それほど食べない内にまた吐き戻してしまった。 パンパンに膨らんでいた顔が、みるみるうちにしぼんで元の下膨れ饅頭へと戻っていく。 その目にはうっすらと涙が浮かび、顔色は真っ青になっている。 「げほっ、がぼっ! ゆ”……ゆげぇ……」 荒い息をついて、ぐったりとその場に潰れるゆっくり。 それを見て、これまでじっと見つめていた男が靴音高く近づいてきた。 「んげほっ、え”ほっ……ゆ、ゆっぐりだべるよ……だから、ごっち、ごないでね……」 青い顔に恐怖の色を浮かべて、男から少しでも離れようと試みるゆっくり。 その様子を見て何か思ったのか、男はその場に座り込んだ。 ゆっくりの顔から恐怖の色が消え、僅かに血色を取り戻すと、そのまま山に近づいていった。 「ゆっぐりだべるよ……だべるよ……」 必死の形相でじりじりと山に近づいていくゆっくり。 僅かに動くだけで戻しそうになりながらも、近づく事はやめない。 「だべるよ……だべっ! ……え”ろろろろろろろ……」 長い時間をかけて山のふもとまで来たゆっくりは、食べる直前に自分で吐き出したものの臭いに負け、その場にアンコをぶちまけ始めた。 「んげろろろろろろ……おげぇぇぇ! げふっ! え”ふっ! ゆべぇぇぇぇぇ……」 吐き過ぎて子ゆっくり並の大きさになっているが、それでも流れ出てくるアンコ。 壊れた蛇口の様に流れ出る黒とは対照的に顔色は紙の様に白くなり、顔には何の表情も浮かんではいない。 後数分で、顔中のアンコを吐き出してしまうだろう。 ここはゆっくりの処理場。 ここに連れて来られたゆっくりは、ここにある仲間の死がいを全て食い尽くすか、即座に殺されるかのどちらかを選ぶ事となる。 ほとんどのゆっくりは死がいを食べる方を選ぶが、どれもが食べきれずに終わる事となる。 数百匹分のゆっくりの死がいは、一人や二人では食べきれないほどに多量にあるのだから、元から不可能な事だ。 それでも挑戦をやめないのは、ゆっくりが間抜けだからなのか。生きたいという想いが強いからなのか。 それは人間には分からない。 男は『それ』をつまみあげて山に投げ置いた。 てっぺん辺りに落ちた顔は、周囲と同じく苦悶の末に死んだ事を物語っている。 そこまでの苦しみを味わっても、決して自分から死にたいと言うゆっくりがいない事が、男には不思議でたまらなかった。 ――次のゆっくりに、ちょっと聞いてみようか。苦しんだ末の死と、苦しむ事ない一撃の死と、どっちが良いのかを。 そう考えつつ、男はゆっくりと部屋を出て行った。 おしまい ゲロ吐くゆっくりいじめものを短くまとめてみようと思ったら、こんなんが出来ました。 なんだこれ。 by cyc=めて男 このSSに感想を付ける
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仕事に疲れた体をゆっくり休めようと家に帰ってくると家の中からなにやら蠢く音が。 こんなぼろい家に入ってくるのは、最近急激に増えてたゆっくりとか言うやつだろう。 案の定家の中にいたのはゆっくりであった 「おにいさん、ゆっくりしていってね」 「ここはまりさがみつけたから、まりさたちのおうちだよ。 わかったらごはんをもってくるか、ここをゆっくりでていってね。」 「うっせぇ、糞饅頭共め。少しは静かにしてろ。」 このあたりにも出没しているらしいことが分かっていたので、食料だけはしっかり保管していたため 被害にあった物といえば破れかけの襖にゆっくり大の穴が開いたことと、剥れかけの壁紙が剥がれてしまった事位だろう。 戸の建てつけも悪かったからそこから入ったんだろうと暢気に部屋の中を見ていると割れたガラスを発見した。 「まじかよ…。」 家に取って置いたお金も博打と酒と女に消え、次の給料日まで赤貧生活をしなければならない私にとってこれは大きな出費であった。 がそれは仕方がないとあきらめ適当な廃材を持って窓自体を塞ぐことにした。 家にいたゆっくりは非常食ぐらいになってくれるだろうと気にもしなかった。 壁から生えている怪しげなキノコを食べてるし、ゆっくりが食べて大丈夫なら焼けば食えるんだろうか。 こうして一人と2匹の奇妙な生活が始まった。 非常食用のゆっくりが逃げ出しても困るので、ゆっくりが逃げ出せないような衝立(ついたて)を立てかけて仕事に行く毎日。 そんなある日、実入りのいい仕事があるが数日かけての泊り込みというものを受け、家を開けてしまう。 食料も帰ってくる頃には腐ってしまうだろうと部屋の中のゆっくり共にぶちまけておいた。 そうして幾日か過ぎた頃、ゆっくりの体に変化が現れた。 ゆっくりの体が少しずつ黒ずんできたのである。 この部屋は湿気を多分に溜め込みやすく、唯一の窓も廃材で蓋をしてしまったため空気の循環がなくなってしまったのである。 唯でさえキノコとか(笑)が生えていただけにその部屋の汚さは想像できるだろう。 「からだがかゆくなってきたよ。まりさはうしろをかいてね。」 「わかったぜれいむ。」 そうしてれいむの後頭部をまりさが頬で擦ってやる。 擦っているうちに発情してきたのか段々と擦るスピードが増してくる。 いつの間にやら顔を上気させて「ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!」とおぞましい交尾をしていた。 「「すっきりー。」」 まりさの頭から蔓が生えていき、幾つかの実ができる。 「あかちゃんができたね。」 「すごくゆっくりしたこになるといいね。」 翌朝眼が覚めると、まりさの蔓に付いていた実の半分ほどは真っ黒になっていた。 また、まりさの頬も黒ずみ始めていた。 「あかちゃんがまっくろになっちゃったよ。まりさどういうこと? まりさのほっぺたとおんなじいろをしているよ。」 「わからないんだぜ。」 「まりさがなにかわるいものでもたべたせいだよ。」 「まりさはれいむとおなじものしかたべてないよ。」 それでもゆっくり達は少し調子が悪いだけですぐに良くなるだろうと思っていました。 「まりさ、またうしろがかゆくなってきたからかいてほしいよ」 「またなのかだぜ。しかたがないなぁ。」 こうして今日もカビ胞子を自分にくっつけることになるまりさ。 それから数時間後には無事に(?)赤ゆっくりが生まれることになった。 「「「「ゆっくりしちぇいっちぇね」」」」 「「ゆっくりしていってね」」 生まれた赤ゆっくりはれいむが2匹にまりさが4匹。 そのうちれいむ1匹とまりさ2匹は真っ黒であった。 初めて生まれた子供に対して感慨深かった親ゆっくりであったが、 黒ずんだゆっくりは 「「「かりゃだがすごくかゆいよ。 おかーしゃん、かりゃだをかいちぇね」」」 黒ずんだゆっくりをきれいにしてやろうと親ゆっくりは体を舐めてやる。 しかしいつになってもきれいにならず、赤ゆっくりのかゆみも引くことはない。 いくら舐めてもかゆみが引かないことに痺れを切らした赤ゆっくりは壁に自分の体をこすり付ける。 しかし体に根ざしたカビは深く、体が削れてもかゆみが引かない。 体を擦りすぎて餡子がはみ出している物もいた。 「あかちゃんはそれいじょうこするとしんじゃうよ。」 「ゆぎぃ、かゆいよ。すごくかゆいよー。」 かゆみに耐えられず擦り続けていた赤ゆっくり達はついに事切れてしまう。 「れいむのあがぢゃんがー。」 「まりざのがわいいあがぢゃんがー。」 「ここはゆっくりできないばしょだよ。 ゆっくりはやくゆっくりできるばしょにいこうね。」 しかし外に出ようにも、窓を塞がれ衝立が高く聳え立つこの場所から逃げ出すことはできなかった。 さらに数日後、男はホクホク顔で家に戻ってきた。 「短期だったが実に実入りのいい仕事だった。 ゆっくり共がぎゃーぎゃーうるさいがそれさえ耐えれたらなんとかなるな。 また加工場で募集してたら受けよう。」 この金で何に使おうか思案しながら家に入ってみるとそこは魔境であった。 部屋にいたゆっくりは全身真っ黒になっていて、その周りにはソフトボ-ル大の黒い塊が3個あった。 その辺に脱ぎ散らかしてあった下着からはキノコまで生えている。 「この部屋に住むのはもう無理だな。 幸いここに金はあるから別の場所に引っ越すか。」 「おにいさん、ここからだしてね」 「なんだこりゃ。気持ちわりぃ。」 その声に驚く男。 まさか生きてるとは思いもしなかった。 新しい住人がここに来るにもゆっくりを置きっぱなしもまずいと思ったのかゴム手袋をし、黒い塊を外へと放り投げる。 「ゆぐっ!」や「ゆべっ!」など聞こえたが気にしない。 貸主に引っ越す旨を伝えてこの家を去ろうとするが、貸主も家の惨状にびっくりしていた。 多額の修繕費を払わされたのは言うまでもない。 外に放り出されたゆっくりはかつての我が家へと戻っていった。 が巣の中にはすでに新しい住人がいたようだ。 「ここはまりさとれいむのおうちだよ。 はやくでていってね。」 「なにをいってるのかしら。 ここはありすがみつけたおうちなんだからありすのものにきまってるでしょ。 それにまりさとれいむはどこにいるのかしら。」 「まりさたちはここにいるよ」 ありすに向かって黒い塊が抗議の声をあげる。 「そんなまっくろなまりさやれいむはみたことないよ。 ゆっくりでていってね。」 そう言って黒い塊に体当たりをする 自分の子供まで体当たりされ始め、このままでは子供が死んでしまうと思ったのかこの場から逃げ出してしまう。 「おかーしゃん、かゆいよ。」 「がまんしてね。おかーさんもかゆいんだから。」 それから親しい友ゆっくりの元に向かうが、皆黒い塊に怯えたりしたため追い払われてしまう。 このゆっくり達にとってゆっくり出来る場所はなくなってしまった。 またカビゆっくりに体当たりをしたゆっくりにも変化が起こっていた。 カビゆっくりに触れたところから黒ずみ始めたのである。 このカビは接触感染する物だったがこのかゆみをやわらげてあげようと、子供やつがいのゆっくりが擦ってあげたため、瞬く間に伝染してしまった。 この山には夜な夜な黒い塊が動くという怪談が里まで広がりいっそう恐れられることとなった。 あとがき スレのほうでカビが話題になっていたので急いで書いてみた。 カビに対する知識がないから想像して書いてみましたが、この男の部屋には住みたくないなぁ。 3作目なので私も作者名を作ろうと思います。 しゃべらないゆっくりと言うことにします。 それではまた次のSSで by しゃべらないゆっくり これまで書いた物 狭き門 ゴッドかなこ このSSに感想を付ける
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ドスまりさ。 体長は5m以上。まりさをそのまま大きくした姿だが、普通のまりさとは違い全てのゆっくりをゆっくりさせる為の存在である。 帽子の中はゆっくりたちの巣になっている。言わば移動型の居住区だ。 口からはキノコを用いた必殺のドススパークを放ち、また帽子からは周りの生物をゆっくりさせるゆっくりオーラを放つ。 後ろ髪にはゆっくりたちから貰った信頼のリボンは結びつけている。 その強さは十分弾幕ごっこでも出来るのでは?と思われるほどのスペックを持つゆっくりである。 その力で暴れれば、妖怪退治に長けた人間以外では勝てないと思われるが、温厚な性格のためか今まで人間と小競り合いを起こした事はあまりないらしい。 そして小競り合いの内容も、人間に虐待されたゆっくりを助けるためだ。 そんなドスの中の一匹が、森の中を跳ねながら移動していた。 ボヨンと跳ねるたびに地面は揺れ、木々からは驚いた鳥や動物たちが立ち去っていく。 ね 「ゆっふ! ゆっふ! もうすぐおがわさんだね! ゆっくりいくよ!」 ドスまりさは大きく跳た。軽く10m以上は飛んだだろう。 ドスン!と着地すると、ドスの目の前に美しい小川が見えた。 「ゆゆ! みんな! ゆっくりでてきてね!!!」 ドスがそう言うと、帽子のツバの部分がモゾモゾと動き出した。そしてそこからぴょこんと顔を出したのは ぱちゅりーだった。 「むきゅん! みんな! おがわについたわよ! ゆっくりでてきてね!」 「ゆゆ! ゆっくりするよー!」 「ゆっきゅりー!」 「とかいはなみずあそびをするわ!」 ぱちゅりーの声を合図に、様々なゆっくり達が帽子の中から出てきた。 ゆっくり達はドスの長い髪の毛から滑りながら地面に降りて行った。その中、れいむだけはリボンがなかった。 そのリボンはドスへの信頼の証として、ドスの髪の毛に結んであるのだ。 「ゆゆ~! おみずさん! とってもゆっくりしてるね!」 「ゆゆっ! ぶしゅーだよ!」 「ゆ! つめたいわまりさ! おかえしね!」 「ゆっくりはしるんだねー。わかるよー!」 ゆっくり達は思い思いにゆっくりとした時間を過ごしていた。 赤ちゃんたちは親と共に初めての川を楽しみ、子ども達は元気に走り回ったり、日向ぼっこをしていた。 しかし、他の皆がゆったりとしてる中でも、ドスは注意深く周りを見回っていた。子供たちが目の届かない所にいかないように。 ゆっくりできない物が現れても対処できるように。 幸い今日は何も起きなかった。 「ゆゆ! それじゃあきょうはこのあたりでごはんにしようね!」 「このはっぱしゃんおいちいね! むーちゃむーちゃちゅるよ!」 「ゆ! のどがかわいたよ! ごーくごーく! しあわせー!」 「ゆゆ! そ、それなりのどんぐりね! ありすがたべてあげてもいいのよ!」 川の近くの木々を夕食にしたゆっくり達。 「そろそろゆっくりねようね! おやすみなさい!!!」 「おやちゅみなちゃいどちゅ!」 「おやすみなさいどす!」 「おやすみだみょん! ペニース!」 ゆっくり達はドスの髪の毛を口で掴みながら上ると、帽子の中へと入っていった。帽子の中は誰にも襲われない最も ゆっくりできる場所なのだ。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 真夜中、無防備にも外でぐっすりと眠るドス。 しかしドスを襲おうとする者は誰もいなかった。それほどまでにドスは恐れられてるのだ。 まさにドスは、ゆっくりをゆっくりさせるために生まれたゆっくりだろう。 初夏を迎えたある日の事。ドスはとある村の近くの森にいた。 別に理由があって村の近くの森に居る訳ではなかったが、ゆっくりを虐める残虐な人間が居たら ぜひともその手からゆっくりを救おうとは思っていた。 周りではいつものように他のゆっくり達がゆったりとしていた。 「ゆへ~~~どすもゆっくりしてね~~~」 顔が若干崩れぎみのれいむがそう言いながら、ドスのほっぺに「すーりすーり」している時だった。 足音が一つ聞こえた。それは段々と近づいてくる。 「ゆ! みんなきをつけてね!」 ドスの警告で皆が足音の方を向いた。子供たちは親の口の中へと隠れた。 現れたのは人間の男だった。人間は籠を背負っており、その中には山菜が沢山入っていた。 「やぁ。ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!!」 ドスと男はお互い挨拶を交わす。男は矢継ぎ早に話始めた。 「いやぁ~山菜を採りにきたんだが、まさかドスに出会うとはねえ。ついてるのかな?」 「ゆーん。ここにはさんさいはないよおにーさん。さんさいならあっちのほうにあるよ」 ドスはを油断せずに話した。本音を言うなら今すぐここから出て行って欲しかった。 「ん? あっち? そうなのか。ありがとうドス。お礼にこれを食べていいよ。」 男がそっと地面に置いたのはクッキーだった。 「ゆゆ! あみゃあみゃのにおいがちゅるよ!」 「ゆっくちたべしゃせてねおかーしゃん!」 「ゆゆ! まだでてきちゃだめだよ! おちびちゃんはゆっくりくちにはいってね!」 「どうじであみゃあみゃをたべさせちぇくれにゃいの? れーみゅたちをゆっくちさせたきゃくないの?」 「ゆゆ! ゆゆ・・・・」 群れが混乱し始めた事に気づいたドスは、仕方なく言った。 「ゆっくりたべてもいいよ。おにーさんにおれいをいってね。」 「ゆーーー! むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇー! おにーしゃんゆっきゅちありがちょね!」 「ありがちょね!!!」 ゆっくり達がムシャムシャとクッキーを食べてる様子をドスは男と眺めていた。 すると男はこんな事を言ってきた。 「ドスのところのゆっくりはゆっくりしてるね。」 「ゆ! どすはすべてのゆっくりをゆっくりさせなきゃだめなんだよ!」 男は少しだけ笑った。そして何かを思い出したかのように話をふった。 「そうだね。・・・でも、本当に全てのゆっくりをゆっくりさせてるのかい?」 「ゆ?」 ドスは男の意図が掴めなかった。 「いや別にこの世の全てのゆっくりをゆっくりさせろって言ってる訳じゃないんだ。君は出来る範囲でゆっくりをゆっくりさせてるだろう? それは素晴らしい事だと思う。・・・でもね、その中に君にゆっくりさせて貰えなかったゆっくりも居るんじゃないのかな?」 「しつれいなことはいわないでね! ドスはがんばってゆっくりさせてきたよ!」 「む! そうよ! ドスにしつれいなことはいわないでね!」 「そうだよ! ゆっくりできないおにーさんはゆっくりかえってね!」 今の発言にはドスだけでなく、周りのゆっくりも怒りを覚えたようだ。しかし男はそんな事を気にせず話を続ける。 「本当にそう言えるのかな? なら試してみようか?」 「ゆゆ? なにをするの?」 ドスの眼は明らかに興味身心だった。一応いつでも飛びかかれるようにはしていたが。 「いや実はね。最近、親を亡くした子供のゆっくりを何匹か拾ったんだけどね。」 「ゆゆ! ちゃんとひとでかぞえてね! しつれいだよ!」 ドスが語意を強めた。男も流石に予想外らしく、少しビックリした顔をした。 「いやごめんごめん。申しわけなかった。何人かのゆっくりを拾ったのだけなんだけどね、やっぱり自然で生きた方がいいと思うんだ。 でも親がいないと生きられないだろう?だから里親を探していたのだけれどね。この群れで育ててくれないかな?」 「む! それならいいわよ! そうよねドス!」 ドスが何か言おうとする前に、ぱちゅりーが反応した。この群れに限らず、ドスの群れでは親を亡くしたゆっくりを育てるのは 別に変ったことではに。かく言うぱちゅりーも、親を亡くしたゆっくりだったのだ。 「ゆ! ゆっくりわかったよ! はやくそのこたちをつれてきてね!」 男は良い返事が聞けた事が嬉しかったのか、優しく微笑みながら 「わかったよ。明日の昼にここにまた来るから。待っていてくれ。」 男はそう言うと山を下りて行った。 そして次の日、男は時間通りにやってきた。何匹かのゆっくりと一緒に。 最初にそれを確認したのはれいむだった。新しい仲間が待ちきれなくて、ついつい前に出てきたのだ。 そして新しい仲間を確認した。 「うっうー! おっぜうさまはかりしゅまなんだっどぉ~」 まず最初には見えたのはれみりゃザウルスだった。捕食種であるれみりゃザウルスは到底ゆっくりできるものではない。 更に、二匹のゆっくりの姿が見えた。姿形こそ似ているがアレも自分たちの天敵である。 「うー! うー!」 「うー! ゆっくりしね!」 胴無しれみりゃとふらんだった。 更に後ろからは 「ゆっへっへ・・・ここがまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜ!」 「ゆゆ! とてもゆっくりできるドスだね!」 まだ若いまりさとれいむが居た。どうやら新婚のようだ。 「でびりゃだぢはゆっぐじでぎないよおおおおおおお!!!!」 「ごっぢごないでええええええええええ!!!!」 「わ゛がらないよおおおおおおお!!!」 「おぎゃああああしゃああああああああああああんんん!!!!」 群れのゆっくり達は恐怖のあまりパニックに陥っていた。 ドスはやってきた男に文句を言った。 「おにさーん! ゆっくりできないれみりゃたちをこっちにつれてこないでね! それいじょうちかづくとゆるさないよ!」 ドススパークを撃つ構えに入るドスまりさ。しかし男は慌てない。 「といってもねぇ・・・この子たちをゆっくりさせてほしいんだけど。」 「なにいっじぇるのおおおおお!!! でびりゃはゆっじゅじでぎにゃいよおおおおおお!!!!」 れいむは泣き叫びながら言った。 「どうしてだい? この子たちもゆっくりだよ? それともドスはゆっくりを差別するのかい? 自分の群れのゆっくりだけをゆっくりさせて、ちょっと他と違うからって同じゆっくりをゆっくりさせないなんて ちょっとがっかりしたなぁ・・・記者にでもタレこもうかな。」 ドスは「ゆゆゆ・・・」と唸りながら数分程考えた。そして結論を出した。 「わかったよ・・・れみりゃたちをゆっくりそだてるよ。かわいそうなこだもんね。」 どうやらドスとしての使命感・・・いや本能が勝ったようだ。 「どうじでぞんなごどいうのおおおおおおお!!!! れみりゃはゆっぐじでぎないよおおおおおおお!!!」 当然納得のいかない群れのゆっくり。しかしドスの懸命の説得でなんとか静まった。 男はドスにゆっくり達を預けた。他のゆっくりもどうやら馴れたようだ。 「おぜうさまはかり☆すまだどぉ~♪ ぷでぃんやすいーつしかたべないからあんしんなんだどぉ~♪」 「それならあんしんだね! ふらんたちもそうなの?」 「「うー! うー!」」 「ゆっへっへ・・・よろしくなんだぜ!」 「よろしくね!!! かわいいれいむたちとゆっくりしようね!!!」 その様子を見ていた男は、ニッコリと笑うとご飯として、3日分のお菓子を置いて行ってくれた。 「それじゃあ帰るよ。じゃあさようなら。」 「それじゃあみんなでゆっくりしようね!」 ドスの声と共に群れのゆっくりは各々ゆっくりし始めた。 「うーうー! たかいたかいだどぉー!」 「ゆゆー! おそらをとんでるみたいー♪」 「ありすにもゆっくりたかいたかいしてね!」 ドスの心配はどうやら外れたようだ。れみりゃザウルスはみんなと仲良く遊んでいる。 れみりゃとふらんの方も、仲良くとはいかないまでも大人しくしていた。 「うー! どすぅー! おなかすいたどぉー! おやつぅー!」 「わかったよ! ゆっくりたべていってね!」 そういってドスは男から貰った袋をガサガサと漁ってオヤツを与えた。 「あまあま~♪ どすにいいこいいこしてあげるぅー♪」 「ゆゆ! すりすりだね!」 ドスのほっぺを撫でるれみりゃ。ドスの心配は無くなった。 四日後。群れは相変わらずゆったりとしていた。 変わった事といえば、男に貰ったお菓子を全て食べつくした事ぐらいだ。 それも最初から三日分程度しかなかったので、当たり前の話ではあるが。問題はその日の昼食だった。 「うー! ドスー! れみりゃたちのぷでぃんがないどぉー! どうしてだどー!」 「うー! ゆっくりたべさせろ!」 「おやつはないんだよ! ゆっくりあばれないでね!」 それに不満を言い始めたのはれみりゃ達だった。彼らの主食は甘味である。 実は別に森の木の実や草でも野菜でも大丈夫なのであるが、如何せん量が足りない上に味の問題がある。 「オヤツはもうないんだよ! ゆっくりりかいしてね!!!」 「いやだどぉおおおお!!!! おやづうううううう!!!! ざぐやああああああああ!!!!」 足をバタバタとさせて駄々をこねるれみりゃ。 「ゆゆ・・・しかたないね。ゆっくりしていってね!!!」 ドスの声と共に、ドスの帽子から謎のオーラが発生した。七色に輝くそのオーラはれみりゃ達を包み込むと れみりゃ達はたちまち、ゆったりとした顔になった。 「う・・・ゆっくりしてるんだっどぉー・・・」 「「う・・・」」 「ゆっくりできたね! さあ、このはっぱさんでゆっくりたべてね!!!」 ドスは、だらんと口を開けたれみりゃ達にご飯を食べさせてやった。 ドスから少し離れた場所で、新婚まりさとれいむは何匹かのグループを結成していた。 元々この夫婦。村で生活していた野生のゆっくりであり、それなりの知識を持っていた。 その知恵の高さ故に話が上手く 口喧嘩が強さの重要な要素であるゆっくりにとってはリーダーの素質を十分に持つゆっくりなのだ。 「まりさがたべていたものはもっとおいしかったんだぜ! にんげんさんのたべるごはんはほかほかしてるんだぜ!」 「ゆゆー! もりのたべものはゆっくりしてないよ! こんなものでほんとうにゆっくりできるのかあやしいよ!」 「ゆゆーん! まりさとれいむはすっごくとかいはなのねー!」 「こんどまりさがもっとゆっくりできるものをとってきてあげるんだぜ!」 ドスはこの会話を遠くからとはいえ聞いていた。しかし、まりさ達が言うことは事実なので何も言わない事にした。 人間の食べる物と野生にあるもの。どちらが美味しいと問われれば、自分だって人間の食べる物と答えるだろう。 そんなこんなでこの日はゆっくりと過ごした。 そんなこんなで一週間後の夜。 ゆっくり達はドスの帽子の中でぐっすりと寝ていた。流石にれみりゃザウルスは帽子に入れなかったので、ドスの傍で 「うが・・・ざぐやあああ・・・・」 とドスの頬を甘噛みしながら寝ていた。 れみりゃとふらんは帽子の中で寝ていた。のだが、すぐに目を覚ました。そしてその後も、何回も何回も 寝ようとするが中々寝付けない。理由は簡単だった。お腹が全然ゆっくりできてないのだ。 食べる餌はそれほど多くなく、まして最近は甘い物など何一つ食べていない。 れみりゃ達は全くゆっくり出来ていなかったのだ。 「う・・・うー!」 「うー!」 どうしようかと悩んでいる二匹。すると、二匹の顔に何かがぶつかった。 「むにゃむにゃ・・・ゆっきゅちちていっちぇね・・・」 赤れいむだった。コロコロと転がってきたようだ。 二匹はそれを見た。それは見ると言うより凝視したと言った方が正しかった。 目の前にとてもゆっくりできる物がある。例え先ほどまで一緒に遊んでいた物であったとしても 今はただの『あまあま』である。食べればとてもゆっくりできるものだ。 「ううー!」 れみりゃが近づいた。そして牙を突きたてて、静かに餡子を吸った。 「ううう・・・うー!」 万年の笑みを浮かべるれみりゃ。それを見たふらんが近くにいた子ゆっくりを食べる。 「うー! ゆっくりできるー!」 「うー! あまあまー!」 二人は久々に味わった餡子の感触に舌鼓をうった。そして、一度始まったらもう止まらない。 捕食種としての本能が蘇った。 「ゆゆ? うるさいよゆっくり・・・っでどう゛じででいぶのあがぢゃんがじんでるのお゛お゛お゛お゛!!!!!!」 「やべでね! ゆっぐじやばでね゛ぶらん!」 「ありずのぼっべがあああああああ!!!!!!」 「むきゅうううううううううううううううううんんん!!!!!」 帽子の中はあっという間に大混乱に陥ってしまった。いくら広いとはいえ、50近いゆっくりがいっせいにパニックとなり そのせいでまともに動きが取れなかった。そしてその中でひたすら暴食の限りを尽くす二匹。 「うー! うー!」 「うー! うまいー!」 「でーびゅのあんごずわないでえええええええ!!!!!」 「あがじゃんをがえじでねええええええええ!!!!!! おねがいだがらわがっでねええええええええ!!!!!」 「ゆゆ! なにやってるのみんな! ゆっくりしてね!!!」 「うっうー? どうしたんだっどぉー?」 身近な異変に気づいたドスが帽子を取る。するとゆっくり達は地面に一目散に逃げた。 「どずううううううううううううう!!!! でいぶのあがじゃんがああああああああああ!!!!!」 「むぎゅううううううううううううう!!!!!!」 「あのでびりゃだぢはどがいばじゃないわあああああああああああああ!!!!!」 群れの話を聞いて事の顛末を把握したドス。その時、頭の上から二匹が下りてきた。 「ゆっぐじじねええええええええええええ!!!!!」 「ベニーーーーーーーーーーーーーズ!!!!」 怒り心頭のゆっくり達に対して、二匹はと言うと 「うー!」 「ゆっくりできたー!」 ご満悦の様子であった。 「ねえ、どうしてあかちゃんたちをたべちゃったの?」 ドスは静かに聞いた。その声には感情を押し殺した声だった。 「うー☆あまあまたべたー!」 「うー! ゆっくりしたー!」 二匹の答えは簡単だった。『ゆっくり』したかっただけだど。それ以上の理由など二匹にはなかった。 しかしそれで納得しないのは他のゆっくりである。 「あがじゃんをごろじでゆっぐじでぎるわげないでじょおおおおおおおおおお!!!!!」 「やっぱりれみりゃはゆっくりできないんだよ! ゆっくりれみりゃたちをころしてねドス!」 ドスは迷っていた。普通に考えればここで二匹を始末するべきだろう。 しかし、そもそもれみりゃ達を引き取ったのはドスなのだ。すべてのゆっくりをゆっくりさせる ドス達にとってはやらなければならない事なのだ。 しかしこのままでは、他のゆっくりがゆっくりできなくなることも事実である。 「ゆっゆ・・・ゆっくりしんでね!!!」 それはあっという間だった。ドスがちょんと跳ねて、二匹の上に被さるだけであった。 「うげぇ!」 「ゆぐじぃ!」 べちゃりと地面に肉まんとあんまんが飛び散った。ドスが退けると 新婚のれいむとまりさがそこに寄ってきた。そして寄りによってその死体を食べ始めた。 「うめっ! めっちゃうめっ! まじぱねぇ! みんなもゆっくりたべるんだぜ!」 「がつがつがつ!!!! むーしゃむーしゃ! しあわせー!」 その光景を見ていた子供たちが近づいていく。 「ゆゆ? ゆっきゅちできゅるの? まりちゃゆっきゅちちゅるよ! むーちゃ! むーちゃ! ちあわせー!」 「おちびちゃん! ままもたべるわ・・・・とかいはね!」 それを皮きりに群れのゆっくりは死体に群がった。ガツガツと死体を食べるそれは禿鷹のようである。 「なにやってるの! おなじゆっくりをたべるなんてゆっくりできないよ!」 ドスは大声で言うが目の前のご飯に夢中な彼らには届かない。 「なにいってるんだぜドス! ゆっくりできないふたりをたべるのはとうぜんなんだぜ!」 「そうだよ! それにもともとはどすがわるいんだよ!」 「ゆっくりできないどすはだまっててね!」 「これはぱちゅりーのだからあげないわよドス!」 「だめなんだっどぉー! ゆっくりするんだっどぉー!」 ドスはみんなの姿を悲しそうな目で見ていた。 それから三日後、群はようやく落ち着いた。先の一軒でドスへストレートに不満をぶつけるものは増えたが。 それと意外な事に、れみりゃザウルスは未だにゆっくりを食べようとはしなかった。 理由を聞くと「おぜうさまはかりしゅまなんだどぉー! さくやがぷでぃんをもってきてくれるからがまんするどぉー!」 とのことだった。まあ、単に前のドスの死刑執行を目の当たりにしただけだろうが。 しかし、不安な動きがない訳でもない。新しくきたまりさとれいむが、最近やたら他のゆっくりを引き連れてどこかへ行くのだ。 無事に帰ってきてる為、強くは言えないが心配である。 ドスは結局みんなを追わずに、今日もゆっくりを虐待しているという家に押し入る事にした。 別に怪我をさせるつもりはないし、ドスの姿を見ただけで大抵の人間は大人しくゆっくりを開放するのでその必要もなかった。 ドスがそんな事を考えている時、まりさ達は人間の村に来ていた。狙いは勿論畑である。 「どうだったんだぜ?」 「だれもいなかったよー!」 ちぇんの報告を聞いたまりさは、後ろのゆっくり達に向かってこう叫んだ。 「みんな! あのはたけはにんげんさんがどくせんしてるんだぜ! ゆっくりできないにんげんさんにはてんばつがひつようなんだぜ! おやさいをもらうんだぜ!」 「ゆー!」 「わるいにんげんさんにはゆっくりおしおきするね!」 「いなかものにおやさいはふさわしくないわ!」 「うー! れみりゃががおーってしてあげるどー!」 何やられみりゃも混じっていた。 「れいむたちはここでにんげんさんがこないかみはってるね! みんなゆっくりしないでおやさいをとってきてね!」 「「「「ゆゆー!!!」」」 そういってゆっくり達は畑へと猛牛のように向かった。 ゆっくり達が見えなくなった頃、まりさは喋り出した。 「ゆっへっへ! ばかなんだぜ! はたけはにんげんさんがつくってるんだぜ!」 「ゆ! にんげんさんにかてるとおもってるなんて、おろかおろか。」 ニヤニヤと笑っていた。 「でもまりさ? あのこたちがゆっくりおやさいをもってこれるとおもう?」 「たぶんむりなんだぜ! でもまりさはよういしゅうとうなんだぜ?」 「ゆゆ?・・・・わかったよまりさ! うーぱっくをよんだんだね!」 「ゆっへん! しっぱいしたらまりさたちがぎょふのりをえるんだぜ!」 「そんなむずかしいことばをしってるなんてさすがだねまりさ!」 「てれるんだぜ!」 そうやって楽しそうにして笑ってた。 「ゆゆ! すっごくゆっくりしてるおやさいがあるよ!」 「おやちゃいおいちちょーだね!」 「とてもとかいはなおやさいね! むーしゃ!むーしゃ! しあわせー!」 「むきゅん! これはとまとっていうのよ!」 ゆっくり達は初めて見る野菜に興奮していた。そして次から次へと野菜を貪り食っていった。 「ゆー? だれもいないんだねー!わかるよー!」 「ぎゃおー! たーべちゃうぞー♪」 そう言うとれみりゃは腕をブンブンと振りましながら空家へと入っていった。そして台所をガサゴソと漁ると 「うっうー! よーかんだっどぉ~♪」 そういって次から次へとムシャクシャ食べ始めた。 ゆっくり達は久々のゆっくりな時間を満喫していた。が、良い事はそう長くは続かないのが世の常 家の主が帰ってきた。 「むーちゃ!むーちゃ! ゆゆ? おにーしゃんだぁーれぇ? ここはれーみゅたちのゆっくちぷれいちゅだよ!」 赤れいむが無邪気な目でこちらを見ている。この場合、無邪気というのは厄介だ。 何せ相手は全く悪いと思っていない。野生の動物にとってみれば、目の前に餌があるなら食べるのは当たり前であり、 所有物という概念など持たないのだろう。 だからこそ、"それ"を潰した。 痛みなど恐らくないだろう。一瞬で潰した。 「ゆがああああああああああ!!!!! ばりざのおぢびじゃんがああああああああああああ!!!!!」 「なにやっでるのおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 「ゆっぐじじねええええええええええ!!!!!!!!!! あがじゃんのがだぎいいいいいいいいいいいい!!!!!」 ゆっくり達が一斉に騒ぎ出した。 「うっう~♪ どうじだんだっどぉ~?」 家から何やらダボダボした着ぐるみを着たゆっくりが現れた。あれは珍しそうだから売れるかも知れない。多少は補填できるだろう。そばに置いてあった鍬を構える。ここからは単なる処理だ。 爽快感も何もない作業が始まった。 「ゆゆ! にんげんさんがかえってきたよ!」 「にんげんさんがいえにはいったすきに、うーぱっくとおやさいをとりにいくんだぜ! たのんだぜうーぱっく!」 「うー!」 二匹は既にうーぱっくに乗り込んでおり、何時でも飛び立てる準備をしていた。 このまま人間が家に入った隙を狙って野菜を取るのがまりさ達の計画だった。畑には罠があるか分からないし 何より一日に二度も来るとは人間も考えないだろうという、なんとも浅はかな考えからの作戦だった。 しかしこれでもゆっくりの中では比較的知恵のある方だろう。 が、世の中は甘くない。現実は非情なのだ。 ガシッ!っと何かがうーぱっくを掴んだ。よく見ればそれは人間の手に似ている。 「うー! うー!」 「ゆゆ! まりさ! うーぱっくがうごかないよ!」 「ゆゆ!・・・・ゆがああああああああああ!!!!!!」 恐る恐る後ろを見た二匹。そこに居たのは予想通り人間であった。 「あの糞饅頭のせいでゆっくりが居なくなったが・・・ちょうどいいぜ。」 男の顔は暗闇で見えない。しかしれいむとまりさは、これから先は確実にゆっくりできない事が待ち受けているのを 確信した。 「やべでええええええええええ!!!!! ゆるじでぐだざいいいいいいいいいい!!!!」 「でいぶはどうじでもいいがら! ばりざは! ばりざはああああああああ!!!!!!!」 「うううー!」 それから何日かたった。ドスの群れは急激に数を減らし、親の居ない子供も何匹か現れた。 しかしドスは、それでもみんなをゆっくりさせようと張り切った。 「みんな! ゆっくりごはんをたべてね!」 「ゆゆーん!」 むしゃむしゃと木の実を食べる群れのゆっくり。しかしその顔はどこか寂しそうだ。 「みんなゆっくりできなくなっちゃったね・・・」 「れみりゃもゆっくりできるこだったのにね・・・」 「みゃみゃ・・・」 そんな時だった。森の奥から騒がしい音が大量に聞こえたのは。 「ゆー? なにかくるわドス!」 その衝撃で木々が震えた。何かがやってくる音が響く。それも大量にだ。 そしてその音はついにドス達の目の前にまできた。その正体は・・・ 「うー! ごうまかんのおぜうさまのめいどにふさわしいドスだぉ~♪」 「そうですわねおぜうさま!」 「ゆっくりしね!」 「じゃおおおおおおおん!」 「あたいったらさいきょーね!」 「「おりきゃらじゃねーよ!」」 「すぐおいしい・・・すごくおいしい」 れみりゃからさくや、ふらんやちるの。果てはめーりんにあきしまいにれてぃ。 大小様々なゆっくり達だった。その数は多すぎてドスでも数える事ができずなかった。 「ゆゆ! みんな! どうしてドスのところにきたの?」 ガヤガヤとうるさいゆっくり達に向けて質問するドス。すると 「むきゅん! ずっとまえにあったおにーさんにおしえてもらったのよ! だれでもゆっくりさせてくれるドスがいるって!」 「そうだど~♪ れみぃはえれがんとなかりしゅまだから~♪ とくべつにれみぃをゆっくりさせてあげるけんりをあげるどぉ~♪」「ゆゆ! さっさとれいむたちをゆっくりさせてね!」 「「「ゆっきゅちちゃてぇてね!」」」 と言われても、ドスが守れる範囲を明らかにオーバーしている。こんなものはゆっくりでさえ無理だとわかるレベルだ。 「ゆゆ・・・こんなにいっぱいはドスもむりだよ。ゆっくりりかいしt。」 「どうじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおお!!!!」 「れーみゅたちをゆっきゅちちゃちぇないなんてさいていだね!」 「かわいそうだとおもわないの? そんなのどすじゃないわ!」 「ゆっくりしね! ゆっくりしね!」 たちまち罵声を浴びるドス。そして観念したかのように 「わかったよ・・・。ゆっくりしていってね。」 そういって受け入れる事にした。 そして夜。さっそく問題は発生した。 「ゆゆ~。ゆっくりうまれてね~♪」 「ゆー♪ ゆー♪」 頭に茎の生えたれいむ。その先に生えている子供に話しかけている時だった。 「うー! ちっちゃいあまあまはおいしいよおねーさま!」 ぶちぃっと産まれてすらない赤ん坊を収穫し、美味しそうに食らうれみりゃとふらん。 「うまいどぉー! さくやにもとくべつにたべさせてあげるんだっどぉ~♪」 「でいぶのあがじゃんがあああああああああ!!!」 捕食種と一般のゆっくりがお互い仲良くできるはずもなく。 ドスの帽子では。 「ゆゆ! ここはまりさたちのゆっくりプレイスなんだぜ! ありすたちはとっととでていくんだぜ!」 「ありすたちはさいしょからどすのぼうしでゆっくりしてたのよ!」 「うるさいよ! ありすたちがはいったらせまくてゆっくりできないでしょ! ばかなの?」 「ゆっくりおちるんだねー! わかるよー!」 「もこたんいんしたお!」 ドスの帽子の中を巡って抗争が起った。 とあるグループでは。 「にんげんさんはゆっくりぷれいすをどくせんするひどいひとたちだよ!」 「ゆっくりおやさいをたべにいこうね。」 こんな会話が飛び交った。 「みんなゆっくりしてよ!!! どうしてゆっくりしないの!!!」 ドスが大声で言ったとしても。 「でびりゃだぢのぜいでゆっぐじでぎないいいいいいいいいい!!!!」 「あまあまがないとゆっくりできないどお~」 「ずっぎりじだいいいいいいいいいいいいいいい!!!!! ばりざあああああああああ!!!!!」 「あたいったらさいきょーね!」 「あたいたちにでばんを!」 「どすがおやさいをとってくればいいんだよ! そしたらもっとゆっくりできるよ!」 全員が好き勝手にゆっくりさせる様に要求する為始末に負えなかった。 仕方なく、ゆっくりオーラで数十分かけて全員をゆっくりさせたドス。 しかしオーラもそう便利なものではない。一度使えばしばらくは何もせずに、ただゆっくりするだけになってしまうゆっくりオーラ 外敵からはあまりにも無防備なのだ。 「ゆゆ・・・どうすればいいの・・・」 ドスのぼやきは誰にも聞こえなかった。 ドスはその晩、決心した。これはきっと真のドスへの試練なのだと。そう思う事にした。 とある男の言葉を思い出す。全てのゆっくりをゆっくりさせるのがドスの指名なのだと その日から森の様子は一変した。 数とドス。その二つの武器を手に入れたゆっくり達に敵う動物など居なかった。 我がもの顔で食べ物を食いあさり、平気で動物に喧嘩を売るゆっくり。 何かあってもドスが助けてくれるので問題などなかった。 相変わらず、食ったり食われたりや、おうち宣言や強姦などで死亡したゆっくりは多かったが、 それ以上にゆっくり達が増え続けるので群れの増加は止まらなかった。 こうなると恐ろしいのが食糧不足である。ゆっくり達もそのことは考えたらしく 畑を襲おうという意見が群れの大半を占めた。 古参のゆっくり達は 「むきゅん! こんなむれにはもういれないわ! ぱちゅりーたちはゆっくりできるばしょをさがすわ!」 そんな事をいって群を抜け出すゆっくりが多数現れた。 瞬く間に山を荒らした群れは、仕方なく他の山を目指す事になった。 他の山にはもちろん、その山に住んでいるゆっくり達が居たが、みながドスへ合流した。 そして山を荒らす。山を草木一本を生えない荒地にして、また次の山へ 時には畑を襲う事もあった。人間はドスに怯えて何もしてこなかった。 他のドスにあったこともあった。しかし何故かそそくさと離れていった。 気がつけば、群れのゆっくり達は、皆ゆったりとしていた。 「うー! かわいいあがちゃんだっどぉ~♪ えれがんとなたかいたかいだどぉー!」 「ゆゆ! おちょらをとんでりゅみちゃいー♪」 「れみりゃはすごいね! こんどはまりさもたかいたかいさせてね!」 「うー! ゆっくりあそんで!」 「ふらんのはねはとかいはね~♪ すっごくきれいだわ~」 「あたいったらさいきょーね!」 食料も何もかも豊富なせいか、群れ同士の間で捕食種や一般の垣根が消えていた。 全員が仲良くゆっくりと野原でくつろいでいた。 ドスは思った。これこそが真のゆっくりのあり方なのではないかと。 全員が種類の壁を越えて、ゆっくりとしているこの光景。これこそが『全員がゆっくりする』ということではないのかと。 そう思うと同時に、今までの苦労が報われた気がしてきた。 (こんなゆったりとしたむれをもてて・・・ドスはしあわせだよ・・・) ドスの目からうっすらと何かが流れ落ちた。 「ゆゆ? どうしたのどす? ゆっくりぺろぺろしてあげるよ?」 れいむが心配そうに声をかけてきた。思えば唯一残っている古参のゆっくりだ。 「ゆ! だいじょうぶだよ! ちょっとゆっくりしてただけだよ!」 そういってほほ笑むドス。 れいむが微笑み返した。本当にゆっくりした顔だ。 それが弾けた。 何が起きたか分からなかった。気がついたら、れいむはあんよの部分を残してどこかへ消えていた。 ドンッ!という音が聞こえた気がした。でもよくわからない。 何が起きたのか把握できない。 辺りを見回した。群れのみんなが何か攻撃を受けている。なんとかしなければ。 どこに敵がいるのかわからない。探す。探しまわる。みんなを帽子に隠そうとしたが止めた。一か所に集まるのは危ない。 バラバラに逃げるように指示を出した。みんな指示を聞く前に逃げていた。 死にかけたありすがこちらに向かって何か言ってる気がした。目の前に誰かが現れた。ピカッ!と光った。 こちらも負けじとドススパークを撃った。そして何も見えなくなった。 「目覚めたのね。気分はどうかしら?」 目覚めると、目の前に綺麗な女の人が居た。赤と青の、ドスの目から見ても変わった服を着ていた。 「ゆゆ? ここはどこなの?」 動こうとするが、何故か力が入らない。喋るだけでもすごく疲れる。 「ここは永楽亭よ。そして貴方は今動けない。当然ね。今までずいぶん酷いことをしてきたもの。」 おねーさんの話は全く理解できない。抗議の一つでもしようと思ったが口が開かない。 「貴方にはしばらくここでゆっくりしてもらうわ。ドスはとても稀少なの。」 (きしょう?) 意味がわからずに、心の中だけで首を傾げた。いや、そんな事より群れのゆっくりはどうなったのだろうか。 心配だ。 「紅白巫女が来る前に捕えられてよかったわ・・・群の事が心配なのね?」 (そうだよ! みんなはどこなの!) 最早、目しか開かないので目で訴えてみた。それが通じたのか、おねーさんは少し笑った。 「ここにいるわよ。」 おねーさんはそういって箱を目の前に持ってきた。 中には群れのゆっくり達が居た。でも誰だかわからない。みんな髪の毛も飾りも目もない。 あるのは口だけだった。 「ゆっぐじざぜないどすはゆっぐじじねええ・・・」 「ぼう・・・いや・・・ゆっぐじじがい・・・」 「どずがばるい・・・んだよ・・・」 「れーみゅもいういや・・・・」 どうしてこんなにゆっくりできてないのだろう。誰がこんな酷い事をしたのだろか。 「大丈夫よ。これからは私がゆっくりさせてあげるから。」 おねーさんはまた笑った。でもさっきのとちがってちょっとこわい。 あたまがぼぉーっとしてきた。もうなにもきこえない。ゆっくりさせたい。みんなゆっくりさせたい ゆっくりしていってね・・・ 「へえー。永遠亭が巨大なドスの群れを制圧か。」 「そうらしいですね。おお、こわいこわい。」 そういって秋風が吹く中をバッサバッサと飛んでいくきめら丸。なんなんだアンタ。 俺はきめら丸が持ってきた新聞を読んでいた。なんでもきめえ丸達が人間用に新聞屋を始めたらしい。 飼い主である烏天狗たちの新聞より人気だとか。 新聞を詳しく読んでみる。どうやら永遠亭はこの機会にドスの大量捕獲に乗り出すようだ。 「そういや・・・あいつらどうなってるのかな・・・」 夏に出会ったドスを思い出す。家に勝手に住み着いたゆっくり達を引き取ったドスだ。 実の所は、殺すのも食べるのも抵抗があったのでたまたま出会ったドスに押しつけた訳だが。 しかし、挑発したとはいえ、ドスが捕食種を預かるとは思わなかった。 その立派な姿に感動して森で出会ったゆっくりによくドスの話をしたものだ。 あのドスなら本当に、全てのゆっくりをゆっくりさせることができるのかも知れない。 そんな事を思いながら茶を啜った。 【後書き】 クリスマスにはみすちーを食べる予定・・・すみません嘘をつきました。 byバスケの人 このSSに感想を付ける
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季節が冬から春に変わるころのこと 雪は溶け、地面からはちらほらと緑が芽生えはじめている 木々からは春のあたたかい日差しが木漏れ日となって地面に降り注ぐ そんな誰も近寄らない森の奥深く、ある閉ざされた大きな木のうろの中にゆっくりれいむの家族がいた 家族構成は、ゆっくりれいむの母親とゆっくりれいむの赤ちゃんが3匹、ゆっくりありすの赤ちゃんが2匹の6人家族である 赤ちゃん達はまだ産まれて間もないようで、一箇所に集まってすやすやと寝息をたてている その様子を見るかぎりどの子も健やかに産まれてきたようだ 子供達の天使の寝顔に笑顔をこぼす母れいむ その様子はとても幸せなゆっくりの一家そのものであった 「ゆっくりしていってね!」 早朝、巣の中に母れいむの大きい声が響く 「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」 「ゆっきゅりしちぇいっちぇねー!」 母れいむの声に次々と目を覚ます子供達 今日も元気に挨拶を済ます 「ゆっ、みんなおきたね!それじゃぺろぺろするよ!」 そう言って赤ちゃんの身体を舐め始める母れいむ 「ぺーろ、ぺーろ」 「おきゃあしゃんくしゅぐったいよ!」 その行為にきゃっきゃと騒ぐ赤ちゃん達 その姿はどこか嬉しそうでもある 本来、ゆっくりは早朝水浴びする習性がある しかし赤ちゃん達がまだ生まれて間もない上に水場まで遠いため、こうやって母親が身体を舐めて綺麗にすることもあるという 「ゆ!ありちゅもぺろぺろするわ!」 母親の真似をしてお互いの身体をぺろぺろ舐めまわしはじめるゆっくりの赤ちゃん達 「すっきりしたね♪」 「ちゅっきりー♪」 身体の汚れをしっかり舐めとったゆっくり達は肌がぬらぬらとてかっている どのゆっくりも実に満足そうだ 身体の掃除が済んだ後は食事の時間になる 朝食は乾燥した雑草と干からびたバッタ これは越冬の時に溜め込んだ最後の食料だ 「むーしゃ、むーしゃ」 「ちあわしぇーっ」 目を輝かせて喜ぶゆっくりの赤ちゃん達 最後に越冬で余った食料を全部処分するべく、今日の朝ごはんはいつもより大目である 冬篭り中食料を尽きさせないように量をセーブしてた為、どの赤ちゃんもお腹を空かせている 必死にになって頬張るあまり、1匹のあかちゃんれいむが窒息しそうになってしまう 母親にぽんぽんと背中を叩かれてなんとか切り抜けたものの、皆がそれを見て大笑い 恥ずかしそうに照れながらあかちゃんれいむもつられて笑う そんなとりとめも無い愉快なひとときが過ぎて行いった 全て食料を平らげた後は母れいむとお歌の練習だ 「ゆ~ゆ~♪」 「ゆゆゆ~ゆ~♪」 好き勝手思う存分と歌を歌うゆっくり一家 身体を揺すりながら声を上げる 「ゆっ、おかあしゃんとってもおじょうず!」 「おかあしゃんのおうたはすごくゆっきゅりできるね!」 「あかちゃんたちもとってもじょうずだよ!」 そんなやりとりを繰り返して間も無く 母親の子守唄を聞いているうちに眠たくなったのか、はてまた満腹になって眠たくなったのか ゆっくりの赤ちゃんは次々にお昼寝をはじめる 「ゆ~♪ゆー……」 全員が寝たことを確認すると、ゆっくりれいむは巣から飛び出していった 保存していた古い食料も全て無くなったため、狩りに出かける必要があったのだ たとえ春になったとはいえ、まだ幼い赤ちゃん達である 外の世界は危険が多いため、勝手に外に出ないようにこうやって寝かしつけてから狩りを始めるのだ 「ゆっくりいってきます!」 寝静まった巣に挨拶をして、母れいむはその日の狩りに出発していった 「ゆっ」 「ゆっきゅりちちぇいっちぇね!」 母れいむが狩りに出発してからどれほど時間が経っただろうか 一匹のあかちゃんありすが目を覚ました 他の姉妹達はどれもすやすやと寝息をたてている 「ゆっきゅりしずかにするよ!」 「そろーり、そろーり」 あかちゃんありすは姉妹達を起こさないようにゆっくり奥の部屋に向かう 奥の部屋の一画は赤ちゃん達の遊び場となっている 綺麗な石や不思議な形をした小枝などが並んでおり、赤ちゃん達は普段それをおもちゃにして遊んでいる いつもなら他の姉妹とおもちゃの取り合いになるところだが、今日はありすが独り占めだ 「ゆ♪ ゆ♪」 それからしばらくの間、あかちゃんありすは小石を蹴ったり枝をくわえたりして遊んでいた それから5分ほど経過したろうか 「ゆぅー…」 あかちゃんありすは時間が経つにつれてひとりで遊ぶのが退屈になってきたのだろう つまらなそうに小石を蹴っている ひとりで遊ぶのは至極つまらない しかし寝ている姉妹を起こしてしまうのは忍びない 巣の外にはくれぐれも出ないようにと母親から厳しく教えられている どうしたものか、と思いをめぐらせていたところ… ブルッ 突然の尿意があかちゃんありすを襲った 「ゆゆっ、ちーちーのへやにいきゅよ!」 蹴っていた小石を片付け、足早にトイレのある部屋へと向かうあかちゃんありす 「ちーちーのへや」とは人間でいうところのトイレにあたる ゆっくりは排尿と排便を行うことが知られている 余分に摂取した水分や古くなって痛んだ餡子を尿や便というカタチで排泄するのだ この際身体の中の不純物や毒素も一緒に体外に出すという 「ゆゆっ、ちーちーちゅるよ!」 部屋にたどり着いたあかちゃんありすは手早く身体を後ろに傾ける 「ありちゅ、ひとりでできるもん」 普段は母親についてもらって済ましているちーちーだが今日は母親の手助けは無い しかしいつもやってもらっている手順にならって排尿行為を行いはじめる 底部にある肛門がヒクヒクと動いたと思うと、そこから尿が放物線を描き吹き出てくる 「ちーちー」 シュワワ… 部屋に小さな水溜りが広がっていく 水溜りは黄ばんでおり、湯気がたっている むわっ、とむせ返るような甘い臭いが部屋に立ち込める 目をきらきらさせながら排尿行為を終えるあかちゃんありす ひとりでできた達成感も相まってか、その顔はとても輝いて見える 「ついでにうんうんもするよ!」 身体をさらにのけぞらせて尿道の下にある菊紋をあらわにする 「うーっ!」 そしてあかちゃんありすは強くいきみはじめる 「うう~…!」 プルプルと震える全身 やがて菊紋はミチミチと音をたてて広がっていき、内部から黒くかたまった餡子の塊が出てくる ニュチニュチ… 「ゆ゙~っ!……ゆふぅ~…」 排便も難無く終えるあかちゃんありす 「ゆゆっ!ちゅっきりー!」 ちーちーだけでなくうんうんもひとりで出来た、おかあさんが帰ってきたら報告しよう、きっと喜んでくれるに違いない 他の姉妹たちにも自慢できる そんなことを考えながら老廃物の前でにこにこと微笑む しかしここで問題が発生した いつもはちーちーやうんうんを済ました後、肛門を母親れいむに舐めて綺麗にしてもらっているのだが 今日は母親同伴ではないため、肛門を綺麗に拭くことができないのだ 「ゆ…ばっちいよ…」 あかちゃんありすはぬとぬとする底部の違和感に眉をひそめる 「ゆっ!」 すると、ひらめいた、とばかりに部屋の壁に向かって飛び跳ねていく そしておもむろに身体を後ろに倒すと、肛門がある場所を壁にすりつけはじめた 「す~り、す~り」 便や尿が付着した部分を壁にこすり付けて汚れを落とすと考えたのだ 次第に汚れは落ちて綺麗になっていく底部 「す~り、す~り…」 もうそろそろいいだろうか そんな事を思いはじめたそのとき、あかちゃんありすは言い様の無い違和感を感じた 底部を壁に擦り付ける刺激が、どことなく気分を高揚させる 後頭部がじわりと熱くなるような感覚 呼吸も次第に強まっていき、顔の紅潮と共に全身が汗ばんでくる 「ゆ、ゆ…!」 その行為に没頭しているうちに背筋がぞわぞわとする感覚がこみ上げてきた 「ゆゆ!?」 驚いて壁から離れるあかちゃんありす 「ふっ…ふっ…」 とにかく自分を落ち着かせようと努力するも、高まった動悸はおさまらない 今の感覚はなんだったんだろう 未知の感覚の前にたじろぎ、快感の先に達することは出来なかった 気持ちは良かったが、それが恥ずかしい行為であるということがなんとなく察知できた きょろきょろとあたりを見回すあかちゃんありす、よかった誰にも見られていないようである ほっとしたら今度は別な違和感を感じた 底部から長く伸びた突起が天に向かってそそり立っていることに気がついたのである ギンギンに膨張したそれはぺにぺに、つまり人間でいう陰茎だ 包皮がずるりと剥かれており、表面は体液でぬらぬらと輝き湯気立っている 真っ赤に充血したそれは、ありす種の白い絹のような肌にはとても似つかわしくない なによりその臭いだ、今まで嗅いだことのない異臭はおもわず自分で顔をしかめてしまうほどだ 謎の快感、突然の突起の出現 あかちゃんありすはただただ自分の身体の変化に驚く他なかった ──翌日の朝 「ゆっくりいってきます!」 今日も母れいむの挨拶が巣に響く 赤ちゃん達は完全にお昼寝中だ しかし、あのあかちゃんありすだけは別だった 母れいむが狩りに出て行くのを寝た振りをして待つ そうして、こっそりと玩具が置いてあるあの部屋に向かった 「ゆ…」 昨日のアレはなんだったんだろう 謎の突起も落ち着いたと同時に身体の中に納まっていったし 何よりもあの快感である あかちゃんありすはいつも遊んでいる小石をもってくると、それにのしかかりながら底部を擦りつけ始めた 「ゆっ…ゆっ…」 リズミカルに腰を振るあかちゃんありす 「ゆっ…ゆっ…」 しばらくすると、再びあの不思議な感覚が戻ってくるのを感じた ぺにぺにも白い肌の間からチロチロと顔を見せ始めた 「ゆっゆっ」 じわじわとこみ上げる快感に夢中になって腰を振るあかちゃんありす もっと もっともっと もっともっともっと どれほどその行為を続けただろうか 突然背筋がぞくぞくとしはじめた 「ゆゆゆっ」 行為は止まらない ただひたすらに小石に身体を擦り付ける 小石はあかちゃんありすの体液でヌルヌルになっており、それが潤滑油となってさらに快感を高めていく すると、今までに無い快感の波があかちゃんありすを襲った 「ゆっ───!」 ビクビクッ 「いいいいぃっ゙!!」 頭を突き抜けるような快感、凄まじいほどの幸福感 おいしいご飯を食べても、どれだけゆっくりお昼寝しても これほどの幸せな快感は今まで体感したことが無かった 「…ッ!!…ッ!!」 体をビクビクと痙攣させながら快感を貪るあかちゃんありす だらしなく涎を垂らし、眼球が裏返るほど白目を剥いている 「ふっ…ふっ…」 ぐったりと倒れこみ次第に落ち着いていく これはすごい すごい遊びをみつけてしまった あかちゃんありすは自慰行為を覚えてしまったのだ それからというもの、あかちゃんありすの生活は今までとまったく変わったものになった 皆が寝静まった昼、夜ともに自慰行為にふけり 寝る間も惜しみ、皆の目を盗んでオナニーを続けたのだ また、自慰行為の内容もより過激なものになっていった 底部をこすりつけるだけでは飽き足らずに、勃起したぺにぺにを柔らかい葉っぱに押し付けて刺激したり 反り返ったぺにぺにを自分の舌で刺激したりするようになった まだ身体の成長が未発達なために精液が出ることは無いのだが 直接陰部に刺激を与えるのは目の前が真っ白になるほど気持ちの良いものであった 「ふっふっ」 そして今日も声を殺しながら 日々の行為の末にイカ臭く成り果てた小石を相手に自慰行為に倒錯していた 母親は狩り、姉妹は昼寝、絶好の自慰行為の時間 ……のはずだった 「ゆゆー?ありしゅ、なにちてるにょ?」 「ゆ!?」 激しくガタガタ音をたてるあまり、一匹のあかちゃんれいむが目を覚ましてしまったのだ 行為を見られた 恥ずかしいところを見られた 顔を真っ赤にして汗をたらすあかちゃんありす 「ゆ…、こ、これはにぇ…」 「これは……しゅっきゅりあしょびだよ!」 とりあえず適当な嘘でごまかそうと取り繕ってみる 「ゆっきゅりあしょび~?」 首をかしげるあかちゃんれいむ どうやら嘘は成功のようだ 「そーだよ、これはしゅっきりあそびだよ…」 「とってもしゅっきりできるのよ」 すっきりできるという言葉にあかちゃんれいむは思わず目を輝かせる 「しゅごい!れいみゅにもおちえて!」 「ゆ、わかったわ!」 姉妹にくっついて底部をすり合わせ始めるあかちゃんありすとれいむ 「ゆきゅ、くしゅぐったいよ!」 きゃっきゃとはしゃぐあかちゃんれいむであったが、次第に振動が増していくにつれおとなしくなる 「ゆっ…ゆっ…」 あかちゃんありすは、あかちゃんれいむの底部からぬらぬらとした液体が滴るのを見た れいむも気持ちよくなっているんだ… 少し嬉しい気になって行為を続行するあかちゃんありす 「なんだかきもちいよ…」 あかちゃんれいむもだらしなく涎を垂らして快感に身を任せ始める あかちゃんありすは、あかちゃんれいむの底部から勃起したぺにぺにに顔を近づけて臭いを嗅ぐ 自分と同じむわっとした臭いがする、でも嫌じゃない サイズはありすのよりも若干小さいそれを、ありすは口に含んで吸い始めた 「ゆああっゆうああ」 体をくねらせて快感を貪るあかちゃんれいむ すると、突然あかちゃんありすのなかの何かがうずきはじめた 自分の欲望を抑えきれず、あかちゃんれいむの後ろから思い切りのしかかる そして完全に勃起したぺにぺにをあかちゃんれいむの後ろからこすりつけはじめた 自分のぺにぺにから溢れる愛液とれいむのまむまむから溢れる愛液が潤滑油となって気持ち良い 「ゆふっゆふっ」 そうしてあかちゃんありすは 無意識のうちに あかちゃんれいむのまむまむに 自分のぺにぺにをすべりこませた 「ゆっ!」 突然の違和感に驚くあかちゃんれいむ それもそのはず、自分の体内に姉妹の勃起したぺにぺにが挿入されているのだ まむまむの中でビクビクと激しく動くありすのぺにぺに ありすは頭の中が真っ白になり、本能のままにヘコヘコと腰を振りまくった 「ゆぅ~っ!なんだかへんだよぉ~っ!」 あかちゃんれいむはこみ上げる快感に動揺を隠せない ただ、なんとなく自分がやってはいけないような遊びをしていることに感付きはじめた そのどれほどヘコヘコし続けただろうか 二匹の下には水溜りができており、にちゃにちゃと凄い音を立てている そんな中、ゆっくりれいむにも絶頂の時が訪れようとしていた こみ上げる快感に突然不安になってくる 自分が壊れてしまいそうな感覚 「ゆうっー!ゆぅっー!!こあいよ!や゙めでよう!」 必死に行為の中断を叫ぶあかちゃんれいむ あかちゃんありすにはこれが理解できなかった なんで気持ち良いのにやめろというのか、気持ちが良いくせに 知らないからそういう言葉がでてくるのだ、一度やったら病み付きになるに違いない そう思い至ったあかちゃんありすは、さらにヘコヘコの速度を上げていった 「ごあいよ!ごあいよ!おかあしゃーん!!」 「ぃぃ゙ぐゥぅうッ!!」 二人の絶頂は同時だった 「ィ゙イッ! ン゙イ゙イ゙ッ!!」 「んンんァあ゙あ゙っ」 目の前が真っ白になるほどの感覚につつまれたゆっくりれいむ 意識は完全にとんでいるのだろう 「イ゙ヒッ…イ゙ヒッ…」 と喉で呼吸をしながらその場で盛大に失禁している 対するありすはいつもより刺激は大きかったものの慣れっ子である 満足そうな顔でれいむの隣に崩れ落ちた 仰向けに横になりながら、その部屋の入り口にふと目をやる ──すると 「なに…してるの…?」 早く狩りから帰宅したのだろう 母れいむがくわえた餌を落としながら二匹を見ていたのだ 「なに…してるの…!!」 見られた… あかちゃんありすは自分の中の何かが崩れていくのを感じていた ~家族愛~END 俺は病気なんですね、わかるよー。 このSSに感想を付ける
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「ついに、ついに完成したぞ!」 薄暗い部屋の中、にとりが声を上げる。 「河童の技術力に夢美とちゆりの科学力。 永琳の薬学に理香子の魔力。 更には里香の設計も加わったこの逸品!!!」 カッ、とスポットライトがテーブルに当てられる。 「その名も、メガゆっくり!!!」 そこには何の変哲も無いゆっくりまりさの姿があった。 「…で、これのどこがめがとかぎがとか大層な名前のゆっくりなのよ」 その光景を見てあきれ返るのはここを嗅ぎつけてきた博麗の巫女。 「それはもう大変だったのよ、いくつもの異なったものを統合するなんて本来無理だもの」 「動力の確保だって問題だったし」 「そこは素敵な力が色々な奇跡を起こすほどに素敵にまとまったのよ」 「どんな方向からでも解明できないゆっくりの餡子がもたらした結果なのかもしれないぜ」 「外側の感触はゆっくりのままに、内部は頑丈さと機能満載で作成したのです」 「更には博麗大結界をネットワークにした位置特定機能も防水機能も完備してるんだよ」 「…危ない連中が集まったからどんな異変かと思ったら単なる暴走だったのね、やってられないわ」 さっさとその場を後にした赤白を尻目に、6人の識者(?)達は早速テストプレイを始めるのだった・・・ ここは人里から少し離れた平地。 辺りには草木はあまり生えていないのだが、これは夢美が事前にる~ことに草むしりをさせていたためである。 土壌は豊かであり、何かを育てるにはもってこいの場所だ。 ここに花を愛するゆっくり達を集め、その中にメガゆっくりも加える。 こうしてしまうと位置を特定しない限りはただのゆっくりにしかみえない。 「さて、皆に集まってもらったのは、ここでみんなにお花を育てて欲しいのよ」 集めたゆっくり達に説明を始める6人。 かくしてゆっくりゆうかを筆頭に花を愛でるゆっくり達とめがゆっくりの花畑作りが始まった。 ゆっくりめーりん、ゆっくりちるの、ゆっくりれいむ・・・ 群となるには少ないが家族となるには多いその数で、種を蒔き、水をやり、雑草を取り除く。 時々近くに通りがかるゆっくりは何をしているか聞くが、説明すると 「ゆゆ?おはなさんはかってにはえてくるんだよ?そんなこともしらないの?ばかなの?」 とゲラゲラ笑ってろくに取り合わない。 それでも花を愛でるゆっくり達は一生懸命水をやったり悪い虫を食べたり雑草を抜いたりして花を育てた。 集団に仲間意識がしっかりと根付いたころ、ついに花が咲きそうことに喜んだ矢先の事だった。 次の朝、花を愛でるゆっくり達の花壇は荒らされていた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 とてもいい笑顔を浮かべて花を食べるのは前まで花を愛でるゆっくり達をゲラゲラ笑っていたゆっくり達である。 「おはなさんがこんなにたくさんはえててよかったね!」 「とってもおいしかったね!またつぎのときにはいっぱいはえてるね!」 折角一生懸命育てて、あと少しでゆっくりした花を咲かせられると信じていたゆっくり達は愕然とした。 しっかり説明したのに取り合わず、いざあと少しという所で全ての頑張りをかっさらっていったゆっくり達。 去っていったそのものたちに怒りを覚えたのは言うまでも無いだろう。 「あらら、これは酷いわね・・・」 そこに現れたのは皆をここに連れてきた6人―幻想郷の識者(?)達であった。 「後一歩だったのに・・・残念だったわね」 「素敵なお花が見られなくて残念だわ」 花を愛でるゆっくり達は自分達の悲しみを分かってくれるこの6人に涙した。 「また、次は荒らされないように育てればいいのよ」 理香子がそう言い、その場のゆっくり達はそうだね、とお互いに頷きあった。 ・・・メガゆっくりであるまりさを除いて。 「まりさはみんなのがんばりをむだにするゆっくりがゆるせないよ、おはなをたべるゆっくりをこらしめたいよ」 勿論それはこの場に残っている誰もが思っていること。 しかし花壇や畑などを襲うゆっくりは数が多く、今回ここで花を蹂躙した数のゆっくりでさえこの場にいるゆっくりでは太刀打ちできないだろう。 それでもメガゆっくりまりさは諦め切れない。 その中には既に優しい心と戦う勇気が灯っていたのである。 「・・・そうだね、まりさ。悪いゆっくりを懲らしめたい?貴方なら悪いゆっくりをきっと懲らしめる事が出来るよ」 「ほんと!?」 にとりが優しく声を掛けるとメガまりさは目を輝かせる。 既にやる気満々のようだ。 「みんな、これからまりさは悪いゆっくりを懲らしめるために頑張る事を決めたわ。あなたたちはまりさが戻ってきた時に立派な花が咲いているようにここを守りなさい」 永琳の呼びかけにそれぞれがしっかりと頷いた。 「私達も時々ここに来てお手伝いしてもいいですか?」 「もちろんだよ!おねーさんたちもいっしょにはなをさかせようね!」 里香の申し出に元気を出して答えるゆうか。 「まりさ、かえってきたときにゆっくりしたおはながさいているようにしてるからね」 「うん、まりさはぜったいかえってくるよ。だかられいむ、まっていてね」 一方ではメガゆっくりまりさの旅立ちに別れを惜しむれいむ。 こうして、メガゆっくりは悪いゆっくりを倒すために立ち上がったのだ。 翌日、メガゆっくりの封印していた各種機能を開放させた後に簡単なレクチャーを行う。 「いいか?これからまりさはスーパーファイティンブゆっくり、その名もメガゆっくりとして悪いゆっくりと戦うんだぜ」 「まりさはすーぱーふぁいてぃんぐゆっくりのめがゆっくりなまりさなんだぜ!」 名前は・・・多分夢美が決めたのだろう、棒読み調でちゆりが名前を教える。 「私たちは貴方をここから手助けするわ」 「でもまりさはここからとおくにはなれるぜ、てだすけできるの?」 「貴方が何処にいるか分かるようにしたのです!」 「ゆっ、それならだいじょうぶだぜ!ゆっくりりかいしたぜ!」 記憶管理機能には問題はないようである。 次は武装チェック。 「後、貴方にいくつか力をあげたわ。まずはあの的に向かって口を空けなさい」 「ゆっくりあけるぜ!」 「次は息を思いっきり吐くようなイメージをしてみて」 「ゆっ!」 バスンッ メガゆっくりが見ていた的に穴が開く。 「これが貴方の力、メガバスターよ」 よく弾幕に使われる動きの早い米弾をメガまりさの意識通りに撃ち出せる機構。 メガゆっくりを作る際、2番目に苦労したものである。 「これで悪いゆっくりを懲らしめられるぜ!」 強い力を得た(元々着けていた機能であるが本人はそう思っている)メガゆっくりは熱い心を胸に抱き出撃していった。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!!!」 早速一匹の野良れいむを見つけたメガまりさ。 「れいむにきくけど、れいむはおはなさんはすき?」 「もちろんすきだよ!!」 「おはなさんはゆっくりできるよね」 「ゆっ、おはなさんはとってもゆっくりできるよ!」 「とてもきれいで、みているとゆっくりできるよね!」 「ゆ、なにいってるの?おはなさんはたべものだよ?ばかなの?」 ―なんだ、おはながすきって、たべるほうがすきなんだ。 「れいむはわるいゆっくりだったんだね」 「ゆゆ?れいむはいいゆ―ゆぶっ!?」 メガバスターがれいむを直撃する。 そこには餡子の花が咲いた。 一瞬罪悪感のようなものが沸いたが― 「みんなをまもるためだぜ」 そう呟いて森の奥に進むのだった。 メガゆっくりが入った森のとある群は大騒ぎになった。 花を食べたゆっくりが爆発し、また花は食べ物だと答えたゆっくりもまた同じようになっていたからである。 「とてもつよいまりさがおそってくるよ!!!」 それが分かっただけで群は天地がひっくり返ったような状況に陥り、この群のリーダーである大れいむですら収集がつかなくなってしまった。 そして遂にその強いまりさ―メガゆっくりが、その姿を確認できるまでに迫っていたのである。 「ゆゆゆ、みんなでそのゆっくりにとつげきすればきっとつぶれるよ!!!」 「わ、わかったよ!!!」 「ゆけ、わがけんぞくたちー!!!」 真っ白になった頭でやっとこさ口に出せた命令を受け、群の面々が一塊のように突撃していった。 普通のゆっくりであれば押しつぶされて終わりである。 しかしメガゆっくりは連続してメガバスターを放ち、その塊の前方を怯ませる。 「ゆゆ、とつげきす―ゆぎゅ!?」 「ゆっくりおさないd―ゆぎゃん!?」 あれよあれよと押しつぶされ自滅する塊。 残ったゆっくりも打ち抜かれ、遂には大れいむのみが残った。 「よぐもみんなをごろじだなぁぁぁぁぁ!!!」 「・・・みんなはゆっくりできなかったんだぜ、だからしんだんだぜ」 「ぞんなごどないぃぃぃぃぃ!!!むでのびんなはゆっぐりじでだぁぁぁぁぁ!!!」 「はなをめでるこころもないくせにゆっくりできるとはおろかだぜ」 「おはなさんなんがどおでもいいぃぃぃぃぃ!!!おばえをごろずぅぅぅぅぅ!!!」 真っ直ぐ突進してくる大れいむ。 メガゆっくりはメガバスターを打ち出して当てるが、それでも大れいむの前進は止まらない。 「ずがまえだぁぁぁぁぁ!!!」 「ゆ!?ぐ!?」 がっちりとメガゆっくりを口に加えた大れいむ。 そのまま後ろに2回、ジャンプしてメガゆっくりを地面に叩きつける。 そして大きく跳躍すると― 「ぢねぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆがぁ!?」 そのまま地面に叩きつけられ、メガまりさは8方向に光の弾を散らしながら砕けた。 「みんな、ゆっくりできないまりさはたおしたよ・・・てんごくでゆっくりまっててね・・・」 傷だらけになりながらも勝利を噛み締めた大れいむ。 「いまのがれいむのわざだったんだね」 おかしい。 大れいむは自分が聞いた声を疑った。 なぜならそれは、さっきまで戦っていた、しかも自分が殺したはずのメガゆっくりの声だったからだ。 そして振り向いた時、今度は自分の目を疑った。 砕け散ったはずのメガゆっくりの姿があったのだからだ。 「まりさのざんきは108まであるぜ!!!」 そう言うや否や、メガゆっくりは大れいむの一部を食いちぎり、飲み込と。 「げっとだぜ!」 帽子の色が赤になる。 ラーニング、他のゆっくりの特技を自分のものにする力。 これは実現させるのに一番手間が掛かった機能である。 「でいぶのおべべがぁぁぁぁぁぁ!!!!」 さっきまで勝ったと思っていた、いや、間違いなく勝っていたのに。 ありえない。ありえない。 れいむの脳内がぐにゃぁ~となる中、メガゆっくりは口に大れいむを加える。 「おかえしだぜ!」 先ほど大れいむが自身に行ったように、二回叩きつけられ、大きく空中を舞う。 「ひぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」 恐怖に顔を引き攣らせる大れいむ。 そして。 「はいぱーぼっ!!!」 「ん゛ん゛ん゛ー!!!」 断末魔の声を上げ、大れいむは完全にその命を絶たれた。 これで分かった事がある。 「ゆっくりできない群とリーダーをたおさないと、みんなのために」 メガゆっくりの目はこれだけの返り餡を浴びてもなお、強く光り輝いていた。 戦いはまだ、始まったばかりだ。 かんぱーい!!! その頃、あの識者(?)6人は祝杯を挙げていた。 「バスターにラーニング、残機システムもちゃんと稼動したわね」 「一回ティウった時はどうなるかと思ったぜ」 システム班の夢美とちゆりは未成年のためジュースで乾杯しつつ。 「ゆっくりできる仲間と花を守る、という目標もしっかり覚えさせる事が出来たし」 「全部の性能がちゃんと発揮されていてよかったです!」 魔力班の理香子と設計班の里香は先に料理に手を付けながら。 「後は博士ポジションらしく素敵に指示を出せばいいんだね」 「私としては薬による色彩変化が不安だったけれどね、ちゃんと変わってよかったわ」 組立班のにとりと薬学班の永琳はお酒を片手に微笑みながら。 今回の成功を喜んでいた。 そう、これは数々の突飛した力を持つ暇な面々が起こした壮大なごっこあそびである。 最近ちょっとだけ幻想郷に入ったソフトをリアルに真似してみた、"MEGAMAN"ごっこというなの。 「しかし、メガゆっくりはどうやって復活したんだ?」 「内部が生きていれば周囲の餡子と皮を再利用して元の姿にもどるです」 「エコね」 「お花畑はどうする?」 「ちゃんとやることはやってあげましょ、花を愛でるゆっくりは貴重ですし」 「ま、何にせよこの素敵な出会いと実験の成功を祝いましょ」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき 所謂”岩男”のパロです。 まぁ、幻想郷の面々ならこれ位できるのではないかな、と。 当方の面々はどちらかというと悪巧みが好きそうで機械とかに秀でてそうな方々を選びました。 今まで書いたもの 博麗神社にて。 炎のゆっくり ゆっくりを育てたら。 ありす育ての名まりさ 長生きドスの群 このSSに感想を付ける
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ゆっくり先生 「はい注目ー!今日の授業はゆっくりの行動についてだ。いいか、よく聞くように。」 教壇に立って大声を張り上げている彼の名前は、鬼意山。 もともとは生物学者だったが、今は小学校の教師をやっている。 彼の担当は理科。中でもゆっくりを使った実験で生徒から人気を集めている。 その残酷で楽しい授業から、いつしか「ゆっくり先生」と呼ばれるようになっていた。 「まず、ここに1匹のゆっくりがいる。どうだ?ゆっくりしてるだろう。」 「ゆっくりしていってね!!!」 『ゆっくり』という言葉に反応して、鬼意の連れてきたゆっくりが鳴き声をあげる。 教室の生徒も「すげぇ!ゆっくりだぜ!」「あたい、ゆっくり見たの初めてだよ。」などと騒ぎ出す。 生徒が興奮するのも無理はない。ここは大都会のど真ん中だ。 ゆっくりなんて、めったに見かけない。 見つけたとしても、死体で発見される場合が多い。 鬼意は教卓をバンバンと叩いて、教室の空気を鎮めると、再び授業を再開する。 「さっきの行動だが、あれは条件反射という。頭で考えるんじゃなくて、体が自然に反応するんだ。 ほら、もう一回いくぞ。ゆっくりしていってね。」 「ゆゆっ!?ゆっくりしていってね!!!」 またも『ゆっくり』に反応して鳴き声をあげる。 そう、このゆっくりは実験教材なのだ。 もともとは、群れでゆっくりしていたのだが、運悪く鬼意に捕まってしまって現在にいたる。 「この反射は自分の意思とは無関係に起こる。じゃあ、ゆっくりにエサを与えてみるぞ。ホラ食え。」 鬼意は理科室の水槽から、水草を1本出してゆっくりに与える。 もちろん、ゆっくりはそれを「む~しゃむ~しゃ」しながら食べ始める。 「ゆっくりは今エサを食べているな。今こいつの頭の中はエサを食べることで一杯だ。ゆっくりしていってね」 「む~しゃむ~、ゆゆゆ!?ゆっくりしていってね!!!」 「おk!こいつは今、意識的に反応したんじゃないぞ。頭の中はエサのことで一杯だったが、体が「ゆっくり」という言葉に反応したんだ。」 「ゆぅ!ごはんのときはしあわせ~!させてね!ゆっくりできないよ。ぷんぷん。」 ぷくぅ~、と膨らんで怒りをあらわにするが、鬼意は顔色ひとつ変えずに授業を進める。 「反射には始動させる原因になる刺激がある。車でいうキーみたいなもんだ。たとえば、この場合は「ゆっくり」という言葉。 こういった刺激のことを『かぎ刺激』というわけだ。はいここ、テスト出るから。」 カツカツと黒板にチョークを走らせながら説明を続ける。 この説明の間も、ゆっくりは「む~しゃむ~しゃ」しているわけなのだが、鬼意の説明で「ゆっくり」という単語が出るたびに反応してしまう。 エサをまともに食べられない状態では、ゆっくりのストレスがマッハだ。 しかし、本当の地獄はここからである。 「じゃあ、これ回すからみんなでやってみろ。殺すんじゃないぞー、これ次も使うから。」 そういって鬼意は最前列右端の生徒にゆっくりを渡す。 「へへっ!ゆっくりだぜ!初めてさわったよ。ゆっくりしていってね。」 「ゆ~おそらをとんでるみたゆゆゆゆ!ゆっくりしていってね!」 「はははっ!おもしれー、マジで反応するぜ。ホラ、ゆっくりしていってね~」 「ゆぅ!ゆっくりしていってね!」 生徒は生まれて初めてのゆっくり苛りにテンションが上がっている。 ゆっくりは完全に生徒たちのオモチャと化してしまった。 「オイ俺にも貸せよ!」 「早く~!あたしもやる~。」 「ほらほら~ゆっくりしていってね!」 「ゆぐぅ・・・ゆっくりできな・・・ゆっ!ゆっくりしていってね!」 「お前ら一人一回だー!あとのヤツはノート取れー。黒板消すぞー!」 どんどん広がるゆっくり苛りの輪。もはや教室の空気はカオスだ。 ゆっくりは自分の意思とは関係なく「ゆっくりしていってね」と無理やり鳴かされて、どんどん弱っていく。 生徒が全員さわり終わって、鬼意のところに帰ってきたゆっくりは、「ゆ・・?ゆっぐ、ゆゆっぐ!ゆっぐ?!」 などと始終ブツブツ言うだけの気持ち悪い饅頭になっていた。 「あー、お前ら苛りすぎだ。ほら見ろ、もう死にそうじゃねぇか。」 「せんせー!そのゆっくり死ぬんですかー?」 「バカいうな。こういういい加減な生き物はな、こうすると生き返るんだ。」 鬼意は『業務用特濃オレンジ全力800』と書かれたビンに入っている怪しげなオレンジの液体を、死に掛けているゆっくりに掛けてやる。 「ゆ。。。。ゆ。。。。ゆゆゆうゆ~~~ん!」 ゆっくりは跳ね起きると、アゴを張って「ゆっくりしていってね!!!」と鳴いた。 「おぉおおおおおおおお!」「すげぇーーー!」「ゆっくりちゃん死ななくてよかったねー。」 教室から歓声が巻き起こる。授業開始から20分が経っていた。 「じゃあおまいら、校庭出ろー!10分以内な。ゆっくりしてると成績下げるぞ。」 「ゆっ!ゆっくりしていってね!」 またもゆっくりが反応し、ドッっと教室中が笑いに包まれる。どうやら生徒はゆっくりを気に入ったようだ。 10分後、生徒は校庭に集合し、鬼意はさっきのゆっくりを連れてやってきた。 「じゃあ次は、ゆっくりの移動について説明すっぞ。ゆっくりは基本的に跳ねて移動する。これは体の弾力を使った移動方法だ。 じゃあ実験するぞ。ホラ、取ってこい。」 鬼意は飴玉を10mくらい離れたところに投げる。 ゆっくりはそれを追って「ゆっ!ゆっ!」と跳ねていく。 ていんていんとバカみたいな効果音が校庭に響き渡る。 「また、ゆっくりは食べ物や虫に「○○さん」などと敬称をつけて鳴く習性がある。これは反射ではなく本能行動だ。反射と違って、かぎ刺激などは必要ない。 しかも通常種のすべてのゆっくりが例外無くこの鳴き方をする。良く見ていろ。」 「ゆっ!ゆっ!あまあまさん、ゆっくりたべられてね!」 鬼意の言ったとうりに行動するゆっくりを、生徒達はニコニコ見守っている。 「では次は底面だけの移動だ。これは内部の餡子を使って、底面を波打たせることによって移動する方法だ。」 「ゆぐ!?ゆゆゆ!ゆげっ!ゆげぇ・・・・」 突如、餡子を吐き出し始めるゆっくり。 鬼意は黙って見ているが、生徒達は心配そうだ。 「せんせー!ゆっくりが苦しんでるよ?オレンジジュースあげないの?」 心配した優しい女の子が、ゆっくりの所に駆け寄ろうとするが、鬼意はその肩をつかんで制す。 「今ゆっくりに与えた飴には毒が混ぜてある。これで体内の餡子を半分ほど吐き出させるんだ。 そうすることによって、弾力を失い跳ねることができなくなると、ゆっくりは底面を波打たせて移動するようになる。 これは授業だ。よく観察したまえ。」 鬼意の顔からは、さっきまでの笑顔は消えていた。 それは以前加工所に勤めていた時のような恐ろしい顔だ。 「ほら!ゆっくり!ここにオレンジジュースがあるぞ。さぁ取りにこい!」 どこから出したのか、鬼意はビーカーに入ったオレンジの液体を手に持っている。 「ゆ・・・ゆげぇ・・・・そろーり・・・そ・・ゆげぇ・・・そろーりそろーり・・・」 ついさっきまでの元気は無く、餡子を吐きながら、ゆっくりと地面を這って来る。 鬼意はニヤニヤとその様子を見守っている。 「ゆっ・・・ゆっぐりしだいよ・・・おにーざん・・・あまあまかけてね・・・ゆっくりのませてね・・・」 鬼意はビーカーを傾けると、液体をゆっくりに頭から掛けてやる。 しかし、ゆっくりの様子が変わらない。 なにやらジューーという変な音が聞こえてくる。 「ゆぅううううううぎゃぁあああああ!あづいいいぃいいいい!あづいよぉおおおおお!じにだくないぃいいいい!おうぢがえるぅううう!」 「ふふふ・・・ハハッハッハ!ヴァカめ!塩酸だよ、それは!絵の具で着色してあるけどねーーーー!ヒャッハァアアア!」 鬼意の虐待スイッチは、いつのまにかONになっていた。 こんなことを生徒の前でやっていいわけがない。 だが、ゆっくりを虐待するのは俺の本能行動だ。 「ゆっくりしていってね!!!」を聞くと殺さずにはいられないのは俺の脊髄反射だ。 ゆっくりはしばらく苦しんだ後、黒こげの塊となって動かなくなった。 生徒たちの空気が凍りつく。 あの優しい鬼意先生が、まさか虐待おにいさんだったなんて。 普通なら、生徒からの信頼を失い、もうだれも真面目に授業を聞いてはくれないだろう。 しかしこのクラスは、何かがズレていた。 「やだ・・・なにこれ・・・イイじゃない・・・」「う・・うほっ!おっきしてきた!」「キャハ!ゆっくりってこんな風に叫ぶのね・・・」 「じにだくない~♪あん!たまんないわ!」「フーハー・・・・フーハー・・・・フゥウウウウハァアアア!!」 「いいぞ!もっとやれ!」「もう終わり?つまんなーい。」「先生、今度ウチにおいでよ。フフ・・・僕様の美麗なる虐待を拝見させてあげるよ。」 生徒は皆、ゆっくりの断末魔を聞き、キラキラと目を輝かせていた。 鬼意はスッキリとした顔で空を見上げた。 鬼意の様子を見て、生徒もまた、空を見上げた。 その視線の先には、大きなくじら雲が浮かんでいた。 キーンコーンカーンコー-ン 授業終了のチャイムが鳴り響く。 次は皆大好きな昼休みだ。 「今日の授業はここまで。みんな家に帰ってから復習するように。ところで、ここに1匹の子ゆっくりがいるのだが・・・」 鬼意はポケットから、テニスボールサイズの子ゆっくりを取り出す。 一瞬にして生徒の目つきが変わる。 「俺は飼わないから、ここに逃がしてやろう。」 鬼意はニヤニヤしながら、子ゆっくりを校庭の隅に置いた。 「ゆっくりしていってね。」 「ゆっくちちちぇっちぇにぇ!」 別れの挨拶を交わすと、子ゆっくりに背を向けて歩き出す。 子ゆっくりは、いきなり広い校庭に置き去りにされ、キョロキョロと戸惑っている。 生徒達は1ミリも動かない。ただじっと鬼意の背中を見つめる。 鬼意が校庭を出て、校門の門を曲がった。次の瞬間。 「「「「「「「「「ッヒャァアアアアアアア!!!虐待ッダァアアぁあああああああああ!!!」」」」」」」」」」 「ゆゆ!?ゆっくちやめ・・・」 「ハッハッハ。目覚めたか・・・少年達よ・・・」 鬼意はニヤリと黒い笑みを浮かべたまま、理科室へと戻るのだった。 あとがき 読んでいただいてありがとうございます。 この前、体付きのれいむ&まりさのSSを書いた人です。 感想ありがとうございました。 今回は虐待描写を多くするように頑張ってみました。 このSSに感想を付ける
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ゆっくり水攻め 水が出ない。 幻想卿の外から来たというポンプを買って一週間。 勝手に水を汲んで水を運んでくれる便利なものを買って、とても満足していたがまさかこれほど早く壊れるとは。 決して安い買い物ではなかったそれをどうにかできないかとポンプのある場所にやってきた。 ポンプ置き場に着くと奇妙なことにポンプのスイッチが入ってなかった。 妖怪には見えないようにお札を貼っていたし、押さないようにと注意書きもあった。子供はここまで遊びに来ないはず・・・ そんなことを考えながら他に壊れていそうなところはないかと確認していくと、機械の裏側ですやすやと寝息をたてているゆっくりを見つけた。 こいつがスイッチを押したのだろうか? 起こさないことにはこの疑問は晴れないのでゆっくりにデコピンをかます。 「ゆぐっ!」 まだ子供なのかとても軽く、デコピン一発で機械にぶつかり、「ぶべっ!」とずるずる落ちてきた。 回復する前に両手で捕まえ、ここで何しているのか聞く。 「ゆっくりあそんでたよ!」 ここでどうやって遊んでたんだい? 「ここでとぶとね、ぴかぴかするんだよ!」 とポンプの電源スイッチの上で飛び跳ねていた。ぴかぴかとは電源が入ったことを伝えるランプのことだ。 納得がいった自分は片手でゆっくりを抑えながらデコピンをする。 ここはおじさんのものなんだ。勝手に遊んじゃだめだよ。これは消えると困るんだ。わかったかな?かな? 一文ごとに一発デコピンをかます。食らうごとに痛い痛いと叫ぶ子ゆっくり。 耐え切れなくなったのか。 「ゆっくりはなしてね!これじゃゆっくりできないよ!」 「もうやだ!おうちかえる!」 と、泣き始めた。 とりあえずポンプが故障したわけでは無さそうだが動くか確認がしたい。 さっきこいつは巣があると言っていたのでそこで試そうと、巣を教えてくれれば助けてあげるよと聞いてみる。 野生のゆっくりは警戒心が強いが子ゆっくりなら大丈夫だろう。 すぐに、 「ゆ!ゆっくりおしえるからたすけてね!」 と、笑顔になって案内してくれるのを笑いながらゆっくりにおしえてもらい、巣を見つける。 その巣は木の根元にある穴で草や枯葉で巧妙に隠していたので教えて貰わないと分からなかったかもしれない。 畑や人の家に上がりこむゆっくりは大抵昔飼われていたり、加工場から逃げた奴である。 本当の野生のゆっくりは人にめったに近づかず、このように巣を作って過ごす。 「おしえたからゆっくりはなしてね!」 「いえでゆっくりするからどっかいってね!」 いまだ腕に掴まれたゆっくりが急かすので約束どおりはなしてやる。 れいむはぴょんぴょんと飛び跳ね巣に近づいていく。巣に近づくと先ほどの声に気づいたのか中からもう一匹のれいむが顔を出す。 「「ゆっくりしていってね!!」」 仲良く頬をすり合わせ中に入っていく。どうやら自分のことはもう忘れたらしい。野生で知能があるといっても所詮はゆっくりである。 ゆっくりどもが中に完全に入ったのを確認した後穴に近づき聞き耳を立てる。 「ゆっくりしすぎだよ!おかあさんしんぱいしたんだからね!」 「みんなしんぱいしたんだよ!」「おねーちゃんゆっくりしすぎー!」 「ゆっ!ゆっ!」 どうやら母れいむ一匹と子ゆっくりが3匹、赤ちゃんゆっくりが一匹と普通のゆっくりれいむ一家のようだ。 帰ってこない子ゆっくりを心配していたのか聞き耳を立てるまでもなかった。 子ゆっくりは包み隠さず正直に話した。 「ゆゆ!ゆっくりしすぎてないよ!にんげんにつかまってゆっくりできなかったんだよ!」 「に、にんげん!」 子ゆっくりの発言に母ゆっくりの態度が変わる。 「ゆっくりにげれたんだね!こわかったね!」 「もうあんしんだからね!すはみつからないよ!」 母ゆっくりはにんげんの怖さを知っているのだろう。巣にいれば気づかれず安全と子ゆっくりに言い聞かせる。 しかし、子ゆっくりが言った次の言葉に自分がいままで人間の怖さを教えてなかったのを悔やんだ。 「すをおしえたらたすけてくれるっていったからいったらたすけてもらったよ!こわかったー!」 「「ナ、ナンダッtt-!」」「ゆー!」 この声は子れいむと赤ちゃんゆっくりだろう、人間を見たことない子供達は未知のものに興味をもったらしい。 しかし、怖さを知っている母ゆっくりはさぞかし子供の発言に驚いたのだろう、 「どお゜じでぞん゜な゜ごどずる゜の゜ー!」 と、外に丸聞こえな叫び声を上げた。 「ゆぐっ!」 この声からするに子れいむを突き飛ばしたのだろう。ゆっくりのすすり泣く声が聞こえる。 と、巣から這い出てくる気配がするので巣目の前に移動する。 母ゆっくりが人間が来てないか確認しにきたのだろう。もぞもぞと巣の入り口のものが取り除かれていく。 自分はわくわくしながらゆっくりが顔を出すのを待った。 「ゆ、ゆ、ゆっくりー!!」 まさか巣の目の前に人間がいるとは思ってなかったらしく、驚き叫ぶ母ゆっくり。決して怖い顔だったからではない。 そこで捕まえてもよかったが、今回は見逃してやる。 「そこでゆっくりしててね!」 急いで巣の中に戻る母ゆっくり。ここにいるとゆっくり出来ないのではないかという疑問を抱きながらまた聞き耳を立てる。 「おかーさんどうしたの!」 「そとににんげんがいたの?」 「おがーさんごめ゜ん゙な゜ざい゜~!」 「ゆゆー!」 母ゆっくりの叫び声を子供達は怯えながら戻ってきた母を心配しているのだろう。殴られたゆっくりと赤ちゃんゆっくりはどう思ってるか知らないが。 「そとはあぶないからいっちゃだめだよ!」 「にんげんがいるんでしょ?みたいみたい!」 「だめだよ!にんげんはとってもこわいんだよ!たべられちゃうよ!」 「ゆゆゆゆ!たべられちゃうのい゜や゜だー!」 「おねーちゃんどうしておしえたの゛ー!」 「ご、ごめ゙ん゙な゙ざい゙ー!」 「ゆー!ゆー!」 「だいじょうぶだよ!ここはあんぜんだからね!しずかにしてたらどこかにいくよ!」 よく聞こえる声だ。もっと聞いていたかったがあまり時間をかけるのも面倒なのでゆっくりと遊ぶための準備をしていく。 まずゆっくり共の巣の入り口に土で壁を作る。これからすることから逃げれないようしっかりと固めておく。 準備が終わるとポンプの場所に向かう。ゆっくりは水が苦手にもかかわらず、飲み水のために水場の近くに巣を作るのでホースが届かなくなることはなかった。 そしてポンプの電源を入れる。後はホースのスイッチを押せば水がすぐに出るだろう。 ポンプ掃除用に置いてあった桶にも水を汲み持っていくことにする。 途中で逃げないように声を出してゆっくりが逃げないようにするのも忘れない。声をかけるたび 「こわいよー!」 「ゆっくりどっかいってね!」という子ゆっくりの声と 「だいじょうぶだからね!だからしずかにしてね!」 という声が聞こえた。母ゆっくりの声が少し聞き取り難かったが、それでもいることは確認できた。 必要な分の水を準備し終わり、最後の締めをしようと巣に近づくと、母ゆっくりの声が聞き取り難い理由が分かった。 穴を掘っているのだ。 どうやら別の出口を作りそこから逃げ出そうというのだろう。畑で捕まえたゆっくりはただ震えていただけだったし、子ゆっくりが馬鹿だったので油断していた。 もう少しくるのが遅かったら逃げられていただろう、冷や汗をかきながら少し計画を変更、すぐさま新しい出口になるだろうポイントを探す。 母ゆっくりの姿が見えないので難しいと思っていたが、少し藪を掻き分けたらすぐに見つかった。 ある場所に生えている植物が倒れかけている。どうやら植物の根を食べているのだろう。 しばらくすると「ゆっ!」という声とともに小さな穴が開いた。すぐに穴が広がってゆっくりが通れるほどになるだろう。 自分は急いでホースと桶ををその穴の近くに移動させる。 先ほどのポイントに戻るともう母ゆっくりは穴から出ていた。子ゆっくりたちを外に出せばもう安全だと思ってるのか顔が笑顔だ。 「ここからでればたすかるからね!でてゆっくりしようね!」 「あのにんげんがばかでたすかったね!」 「れいむをだますわるいやつだったね!」 「あのままいりぐちでゆっくりしてるといいよ!」 「ゆっゆっゆー!」 完全に人間から逃げおおせたと思っている。そんなに大きい声をあげたら気づかれるとは思わないのだろうか。 とにかく気づかれないのは好都合なのでそろりそろり母ゆっくりの後ろに水を張った桶を持って回り込む。 母ゆっくりは子供達が出れるように蔦を口に咥えて穴を覗き込んでいて自分が後ろにいることに気づかない。 蔦を口に含み穴を覗き込んだ母ゆっくりの後ろで水を汲んだ桶を持って立つと言う他人が見たら奇妙に思う格好で待っていると 「まずはあかちゃんからだよ!」 「おねーちゃんたちはあとからでるからね!」 「さきにゆっくりしててね!」 「ゆっ!」 姉妹愛かまず赤ちゃんゆっくりが出てくるらしい。母ゆっくりが蔦を引っ張ると少しずつ赤ちゃんゆっくりのかわいらしい顔が見えてくる。 久しぶりの日差しに目が慣れていないのか目をパチパチさせながら、 「「ゆ~♪」」 と母子が言ったのと、自分が桶の水を流し込んだのは同時だった。 「ゆ゙ー!!」 「あ゙あ゙あ゙あ゙ー!!!」 赤ちゃんゆっくりが桶から勢いよく流れた水に流され穴に戻されていく。 すぐ下で次に蔦が降りてくるのを待っていた子ゆっくりたちも赤ちゃんゆっくりとともに流れてきた水に驚き急いで穴を戻っていく。 「「「い゙や゛ー!み゙ずごわ゙い゙ー!!」」」 心地よい悲鳴を上げながら水から逃げ切ったのだろう息を切らした音が聞こえる。 赤ちゃんゆっくりは直撃を受け、皮をぶよんぶよんにして地面にへばりついている。まだ餡子が流れず、息があるのか、 「ゆ゜っ!・・・ゆ゙っ!・・・」 とピクピク震えていた。 もう少しどうなったのか確認しようとすると足に軽い衝撃。どうやら母ゆっくりが体当たりしてきたようだ 「どお゙じでごん゙な゙ごどずる゙の゙ー!!」 おお怒りゲージMAXなのか顔が紅白饅頭の赤い方みたいだ。うるさいので穴をのぞけるように調整して踏みつける。 「ゆぎゅっ!」とか言うが気にしない。餡子が出ない程度に踏みつける。 時間をくったので穴の中では水でふやけた赤ちゃんゆっくりを子ゆっくりたちがゆっくりと乾いた地面へ運んでいるところだった。 「ゆっくりげんきだしてね!」 「すぐにかわくからじっとしててね!」 「ゆっ・・・」 「それまでおねえちゃんがまもってあげるね!」 ポンプのスイッチを押す。 「や゙、や゙め゙でー!!」 「「「ゆ?」」」 子ゆっくりが母ゆっくりの叫び声に気づき振り向く。 そこにはポンプから流れ出る水がゆっくりと迫ってきてるではないか。 「「「い゙や゛ー!!!」」」 「ゆぐゅ!」 先ほどまでの姉妹愛はどこへやら、赤ちゃんゆっくりを放り出し逃げ出す子ゆっくりたち。 赤ちゃんゆっくりは這いずることも出来ず、流れてくる水をみながら、初めて言葉を話した。 「ゆっくりしたけっかがこれだよ!」 子ゆっくりたちは巣の入り口を目指す。後ろからは水が迫ってるから逃げるには入り口しかない。 人間がいるかも、と言う考えは今の子ゆっくりたちには考えられなかった。先ほどの赤ちゃんゆっくりの悲鳴で子ゆっくりたちはパニックになっていた。 「おねーちゃんがさきだよ!」 「おねーちゃんはゆっくりしてね!れいむがさきにいくよ!」 「げん゙がじな゙い゙で~!!」 我先にと争いながら逃げるゆっくり二匹とそれをなだめる一匹は何とか巣の入り口に着いた。ここからなら出られるだろう。 急いで入り口を隠していたものを取り除こうとすると気づく、これまで隠していた枯葉や枝ではなく土が壁となって入り口を塞いでいることに。 三匹は絶望に苛まれながらも母ゆっくりがしていたように少しずつ穴を掘っていく。 しかし、母ゆっくりのように上手くいかず、水が迫る恐怖心から三匹が別々に穴を掘っていた。 もし三匹が協力して穴を掘ってたら助かったかもしれない。しかし子ゆっくりたちはそのようなことを考える余裕はなかった。 「れいむがほったあなにつちをもってこないでね!」 「そっちこそこっちにつちをとばさないでね!」 「ゆっくりいそいでね!けんかしないでね!」 喧嘩を止めようと声を出しているゆっくりも体は自分用の穴を掘るのに必死だ。 死にたくない。死にたくない。死にたくない。 三匹にはそれしか考えられず、懸命に自分用の穴を掘り続けた。 しかし、もう水はそこまで来ている。もう間に合わないのではないか。 一番小さな子ゆっくりはこの状態に耐えられなくなった。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙だずげでー!」 叫びながら飛び跳ねる。掘った穴が崩れるが気にしない。 「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」 どうやら一番小さい子ゆっくりのせいで真ん中のゆっくりが掘っていた穴も崩れたらしい。真ん中のゆっくりが悲鳴を上げる。 残ったのは一番大きい子ゆっくりが掘っていた穴だけ。 一番大きいゆっくりが後ろの悲鳴に振り向くと二匹が体当たりしてくるのは同時だった。 「「だずげでお゙ね゙え゙ーぢゃん゙!」」 「あ゙な゙がぼれ゙な゙い゙い゙い゙い゙!」 さっきまで喧嘩していたのに図々しく姉に頼ろうとするゆっくり。しかしそのせいで姉ゆっくりは穴が掘れず、最後の希望も潰えてしまった。 追いついた水に三匹仲良く流される。 「「「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」」」 三匹の悲鳴はそれが最後だった。後は少しばかりぼこぼこと空気の音がしたが、それも終わると後は静寂が残った。 ふと、踏みつけていたゆっくりの反応がないので足元を見ると、先ほどの事実に耐えられなかったのか紅白饅頭のように白くなっていた。 持ちあげると口を開け白目をむいたままだったので軽く打つ。 しかしまったく反応がないのでとりあえず木に吊るしてその場を離れる。夜になればれみりゃにでも食べられているだろう。 埋めた入り口まで戻り、逃げてないことを確認し、この場を離れる。 ポンプの故障ではなかったことに安堵し、畑までポンプを戻す。 次からこのようなことがないように罠を仕掛けたほうがいいかなと思った。 このSSに感想を付ける
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※飼われて愛されているゆっくりがひどいことになります ※人間いじめ的な要素があります 人里に、仲睦まじい飼いゆっくりのつがいと愛でお兄さんの姿があった。 いや、本当に両者の仲は睦まじかったのだろうか? 見る者が見ればその関係は、かわいい愛玩動物に鼻の下を伸ばす青年に、 適当に媚を売り、飯炊き係として利用している醜い畜生、そのように映ったかも知れない。 何しろこのゆっくりども、物を盗む、壊すなどの悪さこそしないものの、 不遜な態度や物言いを繰り返し、飼いゆっくりバッヂを輝かせながら、村人の不快感を煽っていた。 悪さをしないのも、単に村人が自分達に罰を与える口実を作らせたくなかったからである。 その全てを見下したようなニヤケ面に村人は、躾不足だ、癇に障るなどと苦言を呈していたが、 飼い主とくれば、それは人間の被害妄想。動物の挙動をいちいち曲解しすぎだなどと返し、どこ吹く風だった。 確かに、それが犬猫の類であればそういう意見も納得出来る。 しかし奴らはゆっくりだ。人語を解し、人間に極めて近い表情を作る生き物なのだ。 そんな詭弁が通ってなるものか? ここにいる男、平凡な虐待者である鬼意山もそう思っていた。 「ゆっゆっゆっ。まりさがとおるよ!ばかなこどもはどいてね!!」 「ゆっ!おじさん、きたないおようふくだね!そんなものかわいいれいむにみせないでね!!ぷんぷん!!」 今日も村人の顔をしかめさせて回る、飼いゆっくりのまりさとれいむ。 週に何度か、飼い主の若者が仕事に出ている間は自由に散歩させているのだ。 このゆっくり、特別性根がねじ曲がっているわけではない。ありのままの自然な姿だ。 甘やかされて育っているため、自然体でありすぎるというのが難点と言えば難点か。 だがゆっくりに対する躾とは、痛い目に遭わせてそのような性根を矯正することである。 飼い主のお兄さんは、ゆっくりにそのような仕打ちをしたくはなかったのだ。 そのような心優しい人間もいれば、正反対の事を考える人間も世の中には当然いる。 (ああ、虐待したい……己の罪を判らせ、苦痛と絶望の中に叩き込みたい……) 物陰でゆっくりを見守る鬼意山は、心に空いた穴からどす黒いものが噴出すのを感じていた。 人間の庇護下に置かれ、更にはその人間をも見下し王様気分に浸っているド饅頭。 鬼意山ならずとも、村人達も本当はその場で叩き潰したいと思っている。しかし、奴らは飼いゆっくり。 単なる野良饅頭であればどう扱っても構わないが、人の物を壊すということは社会のルールに反する。 鬼意山といえど、そこまで虐待に全てを賭してはいなかった。 大体あんなものをかわいがる、愛でお兄さんも愛でお兄さんだ。 以前彼は愛でお兄さんに「ゆっくりは醜い生き物だ。可愛がるなんてやめて痛い目を見せたほうがいい」と説いたことがあった。 しかし当然というか、愛でお兄さんは呆れ顔で「君みたいな狭量で暴力的な人と一緒にしないでくれ」などと言ってきた。 鬼意山は逆ギレしかけたが、なるほどなるほど、確かに傍から見ればそうかも知れないと自らを戒めた。 だが、腐っていた心がゆっくり虐待によって救済され、彼の仕事面や健康面に多大なる好影響を与えていたのも事実。 彼は虐待に対する義務感、いや一種の恩義のようなものすら感じている変人だった。 だからこそ陰では鬼意山などと標榜し、世間のアウトローを気取っているのだ。 その鬼意山として、あのようなゆっくりを看過していいものだろうか。そんなはずがない。 (このルール、必ず抜け道がある……鬼意山の名にかけて、絶対に見つけ出してみせる!) 彼がその情熱を仕事に傾けていれば、年収が一桁違ったとさえ言われている。 しかし情熱というのは、基本的には転用不可能なものである。 「ゆ~、きょうもおさんぽたのしかったね!!」 「おいしそうなおやさいがいっぱいあったね。こんどたべにいこうね!!」 「だめだよ!!おにいさんがいじめられちゃうよ。そしたられいむたちがゆっくりできなくなるよ!!」 「ゆぅ~・・・ゆっ、おにいさんがごはんをたくさんくれるからがまんするよ!!」 「ゆん!でもきょうはおにいさんかえってくるのおそいね」 「ゆぅ~~・・・」 愛でお兄さんはその日急な残業を言い渡され、いつもより帰宅が遅くなっていた。 飼いゆっくり達の日々の暮らしといえば、おさんぽから帰って来るなりお兄さんにご飯をもらう、 食べたら遊んでもらう、遊んでお腹が減ったらおやつをもらう、おやつを食べたら寝る、 このルーチンワークである。しかしお兄さんのいない今日は、非常に手持ち無沙汰だった。 暇なゆっくりのやることと言えば一つである。 「ね、ねぇれいむぅ・・・おにいさんがいないうちに・・・」 「ゆぅん、まりさったらぁ・・・」 互いに気味悪くしなを作り、ぷにぷにと頬を寄せ合うれいむとまりさ。 「ゆっゆっゆっゆっ・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 やがて餅肌のこすれあうすりすりという音は、粘液の絡み合うネチャネチャという音に変わり、 れいむとまりさは顔を激しく上気させ、白目を剥きながらあらゆる体液を垂れ流しにしているようだった。 ゆっくりの醜悪なセックスである。 「んほおおおおぉぉぉぉぉっ!!れいむぅぅぅ!!ずっぎりずるよぉぉぉぉぉ!!」 「ぎてっきてっまりざ!!れいぶにまりざのあがちゃんにんっしんっさせてえええええ!!すっきりー!」 「ぼおおおおおずっぎりーー!!れいぶもういっかいざぜでえええええ」 「いいよまりざあああああぁぁぁ!!いっぱいあかぢゃんづくろうねぇぇぇぇ!!」 この姿を見れば、愛でお兄さんと言えども顔を顰めて愛想を尽かしてしまうかもしれない。 それほどの醜さだったが、運良くというべきか、お兄さんはまだ帰って来なかった。 代わりに、戸外にまで響くその嬌声に聞き耳を立てる変質者が一人。鬼意山である。 ゆっくりが果てたのを確認すると、彼は口元を歪めてその場を立ち去った。 「ただいまー」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「まりさにごはんをちょうだいね!!」 「れいむにはおおめにちょうだいね!!」 「はーい、わかりましたよ……っと?」 残業を終えた愛でお兄さんが帰宅すると、そこには愛しの飼いゆっくりがお出迎え。 というより、飯の催促。お兄さんもニコニコ顔でご飯の準備に取り掛かろうとする。 しかし仰天させられたのは、れいむの頭に生えた数本の茎である。 「れいむ、これは一体……?」 「ゆっ!れいむとまりさのかわいいあかちゃんだよ!!」 「おにいさんはこんなにかわいいあかちゃんがみられてしあわせだね!ゆっくりかんしゃしてね!!」 母体が充分な栄養を蓄えているからだろうか、赤ちゃんの形成スピードは速く、 三十匹はいるかという赤ちゃんが今夜中には生まれそうである。茎にぶら下がった赤ちゃんは、寝息を立てながら揺れている。 かわいいれいむたちに優しくしてくれるお兄さんなら、きっと赤ちゃんを見たら大喜びだろう。 そうすればもっと自分達はゆっくりさせてもらえるに違いない。そんな期待を込めてお兄さんの顔を見上げるゆっくり。 しかしお兄さんは、いつも通りのニコニコ顔でありながらも、眉間に皺を寄せていた。 「う、うん! とっても可愛い赤ちゃん達だね。見せてくれてありがとう!」 「でしょ!ゆっくりしたいいこにそだつよ!だからおにーさんもいっぱいごはんちょうだいね!!」 「そうだね。頑張るよ、出来るだけ……」 いつもは自分達とハキハキ会話をしてくれるのに、歯切れの悪い語尾を残し、肩を落として去っていくお兄さん。 れいむは直感していた。このままだと自分達はゆっくり出来なくなる、と。 元々この二匹は、お兄さんの家に勝手に侵入して荒らし回っていたのを、厚意で飼いゆっくりにしてもらったのだ。 だかられいむには、お兄さんの蓄えがあまり多くはないことを予め知っていた。 愛でお兄さんはお人好しゆえ、少し要領が悪い所があり、稼ぎはあまり良い方ではなかったのだ。 この上これほど多くの赤ちゃんが生まれればどうなるだろうか? 取り分が減る―――こういった直感がゆっくりに働くことは稀であり、その点れいむは賢明なゆっくりだった。 晩御飯を食べた後、身重のれいむは遊ぶわけにもいかず、お兄さんも仕事に疲れて寝床についてしまった。 まりさはもっと赤ちゃんを自慢したかったが、お兄さんが寝てしまってはやることが無いので、自分達も寝ることにした。 静まり返った家の中で、赤ちゃんゆっくりの小さな寝息と、れいむとまりさのひそひそ声(ゆっくり基準)が響いた。 「ゆ~ん!れいむ、あさまでにはあかちゃんうまれそうだね!おにーさんをびっくりさせようね!! きっとたくさんあさごはんがもらえるよ!!」 「まりさ、ゆっくりきいてね。ちょっとあかちゃんがおおすぎるよ!」 「ゆゆっ!?れいむなにいってるの?あかちゃんいっぱいいたほうがゆっくりかわいいよ?」 「でもあかちゃんたちにごはんをあげたられいむたちのぶんがなくなるよ!! おにいさんはそんなにいっぱいごはんをもってないよ!これじゃゆっくりできないよ!」 「ゆゆっ!?なんでぞんなごどいうのお゛ぉぉぉぉぉ!!れいぶがあかちゃんいっぱいほじいっでいうがらあぁぁぁぁ!!」 「へんだいのばりざがなんどもすっきりしようとするがらでしょおおぉぉぉぉぉ!!」 ついつい大声で口論する二匹だが、お兄さんが「う~ん」と言いながら寝返りを打ったのを見ると、 びくりと全身を震わせ、再び家の中は水を打ったように静まり返った。 「ゆ・・・わかったよれいむ。でもどうするの?」 「ゆっくりきいてね。おにいさんがおきてくるまえに、あかちゃんをすこしすてようね」 「ゆ゛っ!?」 「こんなにいっぱいいたらすこしぐらいへってもきづかれないよ。ゆっくりりかいしてね」 それはれいむの餡子脳では四以上の数字を数えられないというだけのことだったが、 人間にも当然のごとくそれを当てはめてしまう辺りも餡子脳たる所以である。 「ゆっ!れいむはあたまいいね!!」 「はやくしないとみんなうまれちゃうよ。ゆっくりすてにいこうね」 二匹はお兄さんが作ってくれたゆっくり用の出入り口から外に出て、 お家から離れた原っぱへと向かった。 ここに捨てられた赤ちゃんゆっくりは、自力では帰って来れまい。野犬やれみりゃに食べられるかも知れない。 赤ちゃんたちの身体はもうほとんど出来上がっていると言ってよく、すぐに切り離しても元気に動き出すことだろう。 「れいむ、あたまをゆっくりさげてね!」 「ゆっ」 れいむが顔を丸めるようにして頭の茎を下に降ろす。まりさは赤ちゃんの中でも特に大きく、 よくごはんを食べそうな子を選ぶと、起こさないように優しく口に含み、茎からぷちりと切り離した。 「ゆっ」と小さく呻いたものの、まだゆっくり寝ていたいのか、地面に下ろしても目覚める気配は無かった。 「だいじょうぶそうだね!」 「このちょうしでいくよ!!」 一匹切り離す度に、自分の食べられるごはんが増える。そう考えるとまりさは、ついつい多めに赤ちゃんを捨ててしまった。 れいむも頭の茎が軽くなるたびに、増えていく自分のごはんを想像して口によだれが溢れてきた。 どちらにせよ今まで食べていた量よりは少なくなるだろうに、不思議な話である。 結局引き揚げる頃には、半分近い赤ちゃんゆっくりがその場に捨てられていた。 「ゆん!これだけすてればだいじょうぶだよ!」 「あしたはのこったあかちゃんとゆっくりしようね!!」 「おにいさんにおいわいぱーてぃーをひらいてもらおうね!!」 「あかちゃんがへったから、まりさたちがおなかいっぱいになれるね!ゆっくりできるよ!」 仕事を終えた二匹は、軽い足取りでお家へと帰っていく。 野ざらしになった捨て子のゆっくりたちは、親達の凶行に気付く様子もなくすやすやと寝ている。 「クク……ククキキキケケケケ……」 そこに近付く影が一つ。鬼意山であった。 彼が最近、一体いつ寝ているのか? それは誰も知らない。 「う~ん……もう朝かぁ」 「「さん、はい!!」」 「「「「「しぇーの、ゆっくちちていっちぇね!!」」」」」 「うわっ、何だい!?」 起床した愛でお兄さんを待っていたのは、いつもよりも多く甲高い声。 誕生した赤ちゃんゆっくり達が、笑顔でお兄さんを取り囲んでいた。 「れいむのあかちゃんたちがうまれたよ!!」 「ゆゆん!ゆっくりかわいいでしょ!!」 「「「「おにーしゃん、かわいいれいむ(まりさ)たちとゆっきゅりちてね!!」」」」 「あはは、皆よろしく! ゆっくりしていってね!」 昨晩はつい家計の心配をしてしまったが、可愛い赤ちゃんたちを目の当たりにすると思わず頬が緩む。 赤ちゃんたちの分も自分が頑張れば良いんだ。そんな気持ちで仕事に臨めそうだった。 親ゆっくりが自分で餌を取りに行けば良い話なのだが、れいむとまりさには元より、お兄さんにもそんな発想は無かった。 一通り破顔したところで、ん、とお兄さんは首を傾げる。 「れいむ、昨日見た時より赤ちゃんが少なくないかい? まだ他にもいるのかな?」 「ゆっ?もとからこれしかいないよ!!」 「お、おにーさんあかちゃんのかずもかぞえられないの?ばかなの?」 「うーん、そっか。疲れて見間違えたかな? まあいいや。よおし、お祝いに朝ご飯は豪勢に行くか!」 「「「「「ゆゆ~~~ん!!!」」」」」 何とか誤魔化し通せた親れいむと親まりさは、内心ホッとしながらお兄さんの作ったごはんをぐちゃぐちゃと平らげた。 昨晩、もう少しお兄さんに赤ちゃんを自慢していたら危なかったかもしれない。怪我の功名というやつだ。 その後、赤ちゃんのお披露目にゆっくりみんなで散歩に出かけた。村人達の訝しげな視線はかわいい赤ちゃんに釘付けだった。 その日の午後には、お兄さんが店で買って来たバッヂが赤ちゃん全員の髪飾りに付けられていった。 「ゆ~~ん・・・ゆ?ゆっきゅりちていってにぇ!」 「ゆっくちゆっくち!」 「ゆ?おかーしゃん?おとーしゃん?」 「ゆゆ・・・ここどこにゃのおぉぉぉぉ!!」 「「「「ゆあぁぁぁぁぁん!!」」」」 捨てられた赤ちゃんゆっくり達は、どことも知れない薄暗い場所で目を覚ました。 茎で寝ている時、自分達に餡子を送り込んでくれていたお母さんの姿は無い。 頼れるもののいない恐怖に、泣き出す赤ちゃんたち。 と、突然辺りが明るくなる。 赤ちゃんたちがいたそこは、簡素な木箱のようなものの中だった。 ゆっくりの跳躍力では超えられないほどの壁が四方にそびえていたが、広さは赤ちゃんが暮らすには充分だ。 わけのわからない状況に戸惑っている赤ゆっくりたちに、一つの声が聞こえてきた。 「みんな、ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆ?ゆっくちちていってにぇ!!」」」」 姿は見えないが、生まれて初めて聞く声。 ゆっくりの声では無いようだが、その柔和な響きに、赤ちゃんたちは束の間の安心感を得られた。 「僕は君たちのお母さんに頼まれて、しばらくお世話をさせてもらうことになったんだ。 この中に居ればいっぱいゆっくり出来るから、泣かないで安心してね!」 「ゆゆ!ゆっくちできゆの?」 「おにーしゃん、まりしゃおなかがしゅいたよ!!」 「れいみゅもおにゃかすいたー!!」 「ごはんをたべさせてね!!」 「ちょっと待ってね、いまごはんを中に入れるよ!」 声がそう言うと、箱の壁に穴が開き、さっとお皿が差し入れられた。 その上に載っているのは大量の餡子。普通の赤ゆっくりが生まれて最初に食べるのは、 親の餡子が詰まった茎なので、相応しい食事と言えた。 「ゆゆっ!いいにおいがしゅるよ!!」 「まりしゃこんにゃにたべられないよ~!」 「れいみゅもいっぱいたべゆよ!」 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわせ~!!」 「あまあま~♪ とってもおいちいよ!」 「とってもゆっくちできるよ!!おにーしゃんありがちょう!!」 お腹がいっぱいになった赤ちゃんたちは、箱の中で飛びはねて遊び始めた。 よく見れば箱の中には、そろばんやスーパーボールなど、楽しそうなおもちゃがいくつもある。 それらでゆっくり遊んでお腹が空くと、またご飯の乗ったお皿がすっと差し入れられる。 夜になって疲れて来ると、明かりが消えて眠りやすい暗さになる。 自分達のお世話をしている人物の姿は全く見えなかったが、赤ちゃんゆっくり達は、 それはきっと自分達をゆっくりさせるために現れた神さまのような存在なのだろう。そう思いながら眠りについていた。 二週間後、お兄さんの家に生まれた赤ちゃんゆっくり達もソフトボール程度の大きさに成長し、 子ゆっくりと言えるほどの大きさになっていた。 赤ちゃんの為にお兄さんが発起したこともあり、稼ぎは若干増え、何とかみんなで毎日満腹になれていた。 お昼の散歩をする一家の姦しいことは、公害レベルに近付いていた。 ものの分別が付かない子ゆっくり達は、人の野菜や花壇のお花を勝手に食べたりして怒られていたが、 その度に親まりさや親れいむが出て行って、「あかちゃんのやったことだよ?ばかなの?」などと仲裁していた。 「ゆゆっ!かわいいあかちゃんをつくってほんとうによかったね!!」 「おにーさんのごはんもまえよりおいしくなったよ!」 「これからもずっとゆっくりできそうだよ!」 「「「「おかーさん、おとーさん、いっしょにずっとゆっくりしようね!!」」」」 「おにーさんもいっしょにゆっくりさせてあげるね!!」 そんな風に寄り添うゆっくりの家族を、愛でお兄さんは微笑ましいといった表情で眺めていた。 たまに悪戯のとばっちりで自分が叱られることもあったが、この笑顔を見るためなら安いものだと思った。 赤ちゃんの為に仕事も頑張れるようになったし、おいしいごはんを出す為に料理も上手くなった。 趣味を持たない彼だったが、ゆっくり達のおかげで人生が充足していくのを感じていた。 ある日の夕方、おさんぽから帰って来たゆっくり一家に、いつものようにごはんを出すお兄さん。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 「はふっはふ、うっめ!これめっちゃうっめ!!」 「ぐっちゃぐっちゃ」 「おいしくてゆっくりできるよ!!」 「ゆーん、もっとたべたいよ!!」 べちゃべちゃと下品に食べ散らかす家族だったが、お兄さんはむしろその自然で奔放な有り様が好きだった。 ニコニコしながら眺めていると、何かの違和感に気付く。 はて、子ゆっくりの数が少し多いような? 確かれいむとまりさは同数だった気がするが…… そう思って数え直してみる。しかし違和感とは裏腹に、思っていた通りれいむとまりさは同数だった。 ふむ、見間違いか。これだけ元気なのが沢山いると、目で追うのも大変だもんなあ。 そう切り上げ、お兄さんは読書をするため自室に戻っていった。 「おかーさん!むしさんつかまえたよ!」 「ゆゆっ!いいこだね!おかあさんはおなかすいてるからたべさせてね!!」 その時、一匹の子まりさが物陰から虫をくわえて飛び出してきたことには気付かなかった。 次のおさんぽの日。晴れ渡る空の下、まりさはお気に入りの石段の上でゆっくり日向ぼっこをしていた。 まりさがそこを占領している間、村人はそこを避けて通る。道にしゃがみこんでるヤンキーみたいな邪魔さだった。 目を細めてうとうとしていると、一匹の子れいむが擦り寄ってくる。 「ゆゆ~ん!」 「ゆ~・・・?どうかしたの、れいむ・・・?」 寝ぼけ眼に、その子れいむはあまり見覚えの無い顔のような気がした。 といっても、ゆっくりの顔なんてどれも似たようなものなのだが。 しかし髪飾りについたバッヂですぐに自分の子供だと解った。 自分の子供の顔も覚えきれないなんて……ちょっと子供を作りすぎたのだろうか。 まあ、いっぱいいるに越したことはないよね。親まりさはそう思考を停止させた。 「おかーさん、れいむはうまれてきてしあわせだよ!!」 「ゆん・・・まりさもかわいいこどもがいてゆっくりしあわせだよぉ・・・」 「ゆっゆっ・・・おかーさん、ずーっといっしょにゆっくりしようね!!」 「そうだねぇ、ゆっくりしようねぇ・・・」 そのまましばらくぬくぬくと寄り添っていたが、日が暮れて石段が冷えて来たので、一緒にお家に帰ることにした。 それから一週間の間に、三回ほどおさんぽに出かけた。 そして晩御飯の時間を迎えるたびに、ゆっくり一家には不満が増していくのだった。 「おかーさん、れいむまだごはんたべたいよ!」 「ゆー、おなかすいたよ!これじゃゆっくりできないよ!!」 「おにーさん、ぜんぜんごはんがたりないよ!!もっとたくさんたべさせてね!!ぷんぷん!!」 「おにーさんはかわいいれいむたちをおなかいっぱいにするぎむがあるよ!!」 「あれ? 足りなかった? ごめんごめん、今作り足すよ」 身体を膨らませて怒りを表現するゆっくり達。ごはんが足りないというのだ。 お兄さんとしても、馬鹿にならない食費、きっちり量は計算して出していたつもりだったのだが、 おさんぽに出て身体をいっぱい動かしていたせいか、子供達の成長が思ったより速かったと見えた。 多少収入は増えたとはいえ、その分食い扶持も増えているので家計は苦しい。 しかし今や人生の希望となったゆっくりたちを飢えさせるわけにもいかない。 苦労して世話をした分だけ、ゆっくりは素敵な笑顔を返してくれる。悲しむ顔は見たくない。 仕方なく、お兄さんは収入が増えるまで自分の食費を切り詰め、身の回りのものも少し処分することにした。 子ゆっくりがこっそり遊んでいた大好きなサイコロなどのおもちゃも、いつの間にか売られていた。 「ただいまぁ~……」 「ゆっ!おにいさん、ゆっくりしていってね!!」 「ごはんをちょうだいね!」 「まりさとあそんでね!!」 「う、うん、ちょっと待っててね。今ごはん作るから……」 更に一週間も経つと、子供達が大きくなったためか家は手狭になってゆき、要求されるごはんの量も更に増してきた。 お兄さんはどんどん残業を増やし、少しでも給料の足しにしようとしていた。 帰って来れば疲れ果て、手の込んだ料理を作る気力も無ければ、ゆっくりたちと遊ぶ体力も無い。 急に遊んでくれなくなったお兄さんにゆっくり一家は不満顔だったが、 すぐに家族同士で楽しそうに遊び始め、それを見たお兄さんも安心して眠りにつくことが出来た。 自分が少しぐらい苦労しても、ゆっくり達がゆっくりすることが出来れば…… 眠りの時間は瞬く間に過ぎ、また早朝からお兄さんはふらふらと仕事に出かけるのだった。 ある雨の日。大好きなおさんぽにも出られず、お兄さん家の中で跳ね回って遊ぶゆっくり一家。 何だか狭苦しく、密度の高さから蒸し蒸しと暑くなってくる。 朝ご飯も何だか物足りなく、膨れないお腹が未だにきゅるきゅると言っている。 生まれた時こそ小さくてかわいい赤ちゃんだったが、大きくなった今では、親まりさには邪魔だとすら感じられていた。 自分で食べ物をやって育てたわけでもない子供達に対するゆっくりの母性本能など、その程度のものだった。 そんな親の気持ちを知る由もなく、狭い家でも伸び伸びと遊ぶ子ゆっくりたち。 大きくなった体があちこちにぶつかり、色々なものが倒れたり破けたりした。 しかし子ゆっくりたちは、生まれてからほとんど叱られたことがないのだ。それが悪いことなどとは思わない。 「ゆ、ちょっとこどもをつくりすぎたね・・・」 「れいむ!これじゃぜんぜんゆっくりできないよ!!」 「ゆ!?まりさがあかちゃんつくろうっていったんでしょ!ぷんぷん!」 「ゆぐぐ・・・でもどうせならもっとあかちゃんをすてておくべきだったね・・・」 「そうだね・・・」 子供達が聞いたら「どぼじでぞんなごどいうのおぉぉぉぉ!!?」と泣き叫ぶこと必至な会話をする親二匹。 ふと、れいむが「ゆ?」と首を傾げ、何か違和感の正体に思い当たったような顔をしていた。 「ゆ・・・ねぇまりさ、なんだかこどもたちがおおいよ!」 「そんなことわかってるよ!いまはなしたばっかりでしょ!ばかなの?」 「ちがうよ!あたまがいいれいむはゆっくりきづいたよ!さいしょのころよりふえてるよ!!」 「ゆ!?なんでえぇぇぇ!?」 訳が解らないといった顔で部屋を見回す親まりさ。しかし沢山の子ゆっくりたちが跳ね回っており、 四匹目のゆっくりを見たら一匹目を忘れる程度のまりさの脳では、とても数など数え切れなかった。 しかし確かに多いような……そんな気もしていた。 「みんな!!ゆっくりあそぶのやめてね!!」 「「「「「ゆ?」」」」」 「おかあさんたちのまえにゆっくりならんでね!」 親れいむは部屋中に響き渡る大声で号令をかける。子ゆっくり達は、渋々遊ぶのをやめて集まってくる。 「どうしたの?おかーさん」 「ゆっくりおいしいものくれるの?」 「おさんぽいくのー?」 「ちがうよ!ゆっくりきれいにならんでね!!」 まりさ種を一列、れいむ種を一列に並べ、「ゆっ、ゆっ、ゆっ・・・」と横から順々に数えていく親れいむ。 そして最後まで数え終わった時「ゆゆっ!」と驚愕を露にする。 「なんだかこどもたちがすごくおおいよ!!」 「なんでちゃんどかぞえられないのおぉぉぉぉ!!れいぶのばがああぁぁぁぁ!!」 頭に疑問符を浮かべる子供達。このバカ親達が何をやっているのか解らない。 しかし子供が増えているような気がするという得体の知れない不安に囚われている親達にとって、 子供の数を正確に数えられないというのは何よりもどかしく、恐怖なのであった。 子供が増えれば、自分の分のごはんが減る。原因が解らなければ、ごはんの減少に歯止めはかからないのだ。 早々に限界を迎えたれいむの餡子脳はオーバーヒート寸前だった。 そもそも、気付くのが遅すぎたのだ。子ゆっくりの数は既に最初の二倍近くなっていたのだから。 とはいえ愛でお兄さんとて、仕事に追われていたとはいえ、じわじわと巧妙に追加されていく子ゆっくりには気付けなかった。 それもどうかとは思えど、餡子脳に気付くことが出来なくても仕方がないのかも知れない。 「ゆゆ?おかーさんおねーちゃんたちなにしてるの?ゆっくりできるあそび?」 「ゆ゛っ!?まだふえだあああああぁぁぁ!!!」 部屋の隅から一匹の子れいむが這い出てくる。単にかくれんぼをしていて、呼び出しの時に出て来損ねただけなのだが、 半狂乱の親れいむは、どこからともなく沸いて出たゆっくりが自分のごはんを奪いに来たという妄想に囚われ、 現れた子れいむに駆け寄っていき、渾身の体当たりをぶちかましていた。 「ゆ゛べっ!?ゆぎゃっ!おっ、おがっ!!」 「なんでふえ゛るの゛おぉぉぉぉぉ!!これいじょうれいむのごはんたべないでえぇぇぇ!!!」 激しい体当たりを繰り返す親れいむ。子れいむが何度も壁に打ち付けられ、全身の傷から餡子が漏れ出す。 徐々に物言わぬ餡塊と化していく子ゆっくりから、甘い匂いが漂い出した。 「ゆっ?あまあまのにおいがするよ!!」 「おやつだね!!ゆっくりたべるよ!!」 「ゆっくりおなかすいたよ!!」 何匹かの子ゆっくり姉妹が列を抜け出し、周囲に飛び散った子れいむの餡子を食べ始める。 親れいむの暴行が陰になっていて見えなかったため、それが姉妹の死骸だなどとは気付かない。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」と言いながら、涙を流して喜びに咽んでいる。 この姉妹達もまた、お腹が空いていたのだろう。 しかしふと我に返った親れいむは、その状況を見てまたも狂乱していた。 「ゆゆっ!?れいむたちなにやっでるの゛お゛おおおおぉぉ!! な゛んでかぞぐをたべちゃう゛のおおぉぉぉぉ!!!おねえざんでじょおぉぉぉぉ!!?」 「「「「ゆゆうぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」」」」 自分で潰しといて何をという感じだが、親れいむは激怒して家族食いの子供達を叱責する。 その様を見ていた親まりさは、何か閃いたように頭上に電球を光らせた。 「いいことかんがえたよ!」 「ゆっ?なあにまりさ?いいことって?」 「おかーしゃん、いいことってなあに?れいむもゆっくちちたい!」 親まりさの隣にいるのは、姉妹でも一番小さい末っ子の子れいむ。 親まりさはそのれいむを笑顔で一瞥すると、軽くジャンプしてプチッと踏み潰した。 平然と家族を殺した夫の姿に、またもや親れいむ大混乱。 「ゆ゛うぅぅぅぅぅ!?まりざなんであがぢゃんごろずのおぉぉぉぉぉ!!?」 「こうして・・・」 そしてぺちゃんこの死体になった子れいむをぺろりと口に入れると、 むーしゃむーしゃとやって飲み込んでしまった。その双眸は据わっていた。 そして唄うように宣言する。 「いらないこをごはんにすれば、おうちはひろくなるしおなかもふくれるよ!!」 「ゆ!?・・・・ゆ、そうだね!!」 「「「「「ゆ゛う゛ぅぅぅぅぅう!!!?なんでおがあざんだぢぞんなごどいうの゛お゛おぉぉぉぉぉ!!?」」」」」 「うるさいよ!おまえたちのおかげでおかあさんたちのごはんがへっちゃったんだよ! いつのまにかふえてるこどもなんてかわいくないよ!どんどんたべてへらすよ!!」 「「「「「い゛ぎゃああああああああ!!!」」」」」 子供が知らないうちに増えていく、ごはんが日に日に減っていく恐怖、そしてこの狭苦しさによる蒸し暑さと酸欠。 小さな要因がいくつも重なり、親れいむと親まりさの脆弱な精神は破綻をきたしていた。 増えすぎたゆっくりの群れが破綻して始まるものといえば、殺戮である。 「い゛ぎいぃぃぃぃぃ!!おがあざ、つぶっ、ざっ、にゃびっ、ぎぇ、びゅっ」 「ゆ゛あ゛あああぁぁぁぁぁぁぁん!!!!ゆ゛あ゛あああぁぁぁぶぎゅ」 「あああああああこのれいむをつぶしていいからまりさはだずげでねぇ!!まりさはたすけてねまりさはたすけたすびょ」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「どぼじでごんなごどにいいいいいぃぃぃぃ!!」 「じねえ゛えええぇぇぇ!!ごどもをだべるわるいおやはゆっぐりじないでじねぇぇぇぇえ!!!」 「おにいじゃああああああんん!!!ひどいおや゛をゆっぐりごろじでねぇぇぇぇじょび!」 「おねえちゃんおいしい!!」 「さすがまりさのこどもだね!とってもあまくておいしいよ!!」 充満する餡子の匂いに刺激されたのか、姉妹同士でも食い合いが始まっていた。 最後に残るゆっくりは何匹になるのだろうか。親しか残らないかもしれない。四匹ぐらいは残って欲しいなあ。 そんなことを考えながらその男、鬼意山は小窓から家の中を覗きながら、餡子の匂いを嗅いでいた。覗きは犯罪である。 何故子供が増えたのか? とても簡単なことである。 最初に親達に捨てられた赤ちゃんたちを男がこっそり回収し、育てていた。 そしておさんぽに出てくる一家を観察し、同じタイプの飼いゆっくりバッヂを購入して拾った赤ちゃんに取り付けた。 おさんぽの最中、子ゆっくり達は親から離れて遊んでいることも多かったので、 適当なところまで育った捨て子ゆっくりを、そこに一匹ずつ紛れ込ませていったのだ。 何度か親ゆっくりの姿を見せたり、子ゆっくり達とさりげなく遊ばせたりするなど、 自然に家族に溶け込める為の教育は万全にしていた。 元々が同じ茎で育った姉妹達だったので、馴染むのは早かったようだ。 子ゆっくりの成長時期に合わせて送り込んでいったので、多少部屋が狭くなっても子供が成長したからだとしか思えず、 ただでさえ多いゆっくり数に一匹プラスされている、などとは気づき難いようになっていた。 そして更に、狭い村社会だ。愛でお兄さんの収入状況などすぐにわかってしまう。 なかなか頑張っているようだったが、二倍にも膨れ上がった家族を養い切れるわけもなく、 浅ましいゆっくりどもは遠からず痺れを切らすだろうと思っていた。そしてこのざまである。 ゆっくりの家族を奪うのは、ルール違反……ならば逆に増やすのはどうか? そんな鬼意山の発想から考えられた、これは実験であった。 増やすと言っても、居るべき場所に戻しただけという認識だったが。 自分のしたことを正直に愛でお兄さんに話しても、まあ良い顔はしないだろうが……強く非難も出来ないだろう。 思えば自分が虐待に目覚めたのも、飼っていたゆっくりのおぞましい姿を見せ付けられ、幻滅したからだった。 愛でお兄さんも同じ道を辿るだろうか? それともこれに懲りずにゆっくりを愛し続けるのだろうか? どちらにせよ、強く生きて欲しいものだ…… 今までのように、ゆっくりなんかに振り回されないぐらいに強く。 餡子塗れになった部屋の中を一瞥すると、鬼意山はそのまま森の中へ去っていった。新たな虐待対象を探しに……。 「はっ、はっ、はっ、はっ……」 雨にぬかるんだ道を、傘を差した愛でお兄さんが小走りに駆ける。 その顔には、久々に心の底からわきあがってくる笑みが浮かんでいる。 最近の頑張りが認められ、今日昇給を言い渡されたのだ。 これで残業を減らし、ゆっくり達と遊んでやれる時間が増える。 更に、小脇に抱えた包みの中には職場でもらった麩菓子の詰め合わせ。 自分で食べてみたところ非常に甘くておいしく、是非ゆっくりたちにも食べてほしいと思った。 最近、おやつをあげられてなかったからな。久しぶりに甘いお菓子を食べてもらい、 幸せそうな笑顔を見せてもらいたい。あれだけの子供がいれば、きっと幸せも何十倍だろう。 そんな光景を想像しただけで、ついつい目じりが下がってしまう。 朝ご飯もろくろく作ってやれなかったから、お腹が空いてるかもしれないな。 早く帰って、一緒にゆっくりしてやろう。じきに雨も上がる。 ―了― このSSに感想を付ける
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「ぎゃおー!たーべちゃうぞー!」 「たべちゃうだってさ」 「おおこわいこわい」 魔法の森のゆっくり達は襲い掛かるゆっくりれみりゃを見てゆっくり構えつつも即座に逃走に移った。 森を熟知しているゆっくり達はれみりゃが手を伸ばすよりはるかに前に散り散りになりれみりゃの視界から消えた。 「うー?う゛ー!う゛ー!ざぐやー!おながずいだー!」 相当おなかがすいていたのか、ごはんにありつけずゆっくりれみりゃは地べたに座り込んで泣き出した。 その汚らしい声に木に止まっている森の鳥達が眉根をひそめて囀るのをやめた。 このゆっくりれみりゃ、ある人間の女の子に飼われていたのだが大きくなった上にわがままで、親に言われて泣く泣く捨ててしまうことになったのだ。 父親が戻ってこれないようれみりゃが寝ている間に魔法の森に入って木の洞に入れておいたのである。 洞の中に朝日がさして目を開けたとき、誰も居ないことで最初はさびしくてずっと森の中で泣いていたが そこはゆっくりブレイン、すぐに飼い主のことなど忘れおいしそうな匂いのするゆっくりを見つけると本能なのかすぐにゆっくりを狩り始めた。 最初のころは油断したゆっくりを何匹か捕まえることが出来た。 しかしれみりゃが居ることがゆっくりネットワークによって広まるとすぐに警戒され、ゆっくりを発見するところまではいけるのだが 捕まえようとするとすぐに逃げられてしまい全く狩りは成功しなかった。 そんな状況が二日ほど続きれみりゃはもはやふらふらでもうザグヤザグヤと泣き喚くしかなかった。 ちなみにさくやというのは前の飼い主の女の子のことである。 その子はさくやという名前ではないのだが何故かれみりゃは飼い主の女の子のことをそう呼んでいた。 「うー!ざぐやー!うあー!うあー!だれでもいいからごはんー!ごはん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ー!!」 「ゆっくりでてきましょうか?」 そんなれみりゃの前に森の木々の間からぴょこん、とゆっくりゆかりんが飛び出してくる。 「ほらゆっくりでてきました」 「う?うー!ぎゃおーたーべちゃうぞー!」 ゆっくりゆかりんが目の前に出てくるとすぐに噛み付こうと諸手をあげて突っ込んでくるれみりゃだったが あっさりとゆっくりゆかりんによけられて顔面から地面に思い切り突っ込んだ。 「う、う゛ー!どおじでみ゛んな゛れ゛み゛り゛ゃにだべら゛れ゛でぐでだいどぉー! お゛な゛がずいだー!ざぐやー!ざぐやー!!」 案の定泣き出したれみりゃを見てゆかりんはあきれながら言った。 「ゆー…れみりゃにたりないのはゆっくり人のはなしをきくことかしら ごはんにありつくための」 「うー?ごはん?うー♪ごはんちょーだいーごはんー!」 現金なものでれみりゃはごはんと聞くとすぐにごはんをくれると勘違いして河馬の様に大きく口を開いて食べ物を貰うための体勢を整えた。 「だからゆっくりゆかりんのはなしをきいてね」 ゆっくりゆかりんは溜息をつくと嗜める様にれみりゃに言った。 「ゆかりんがごはんを集めるのをてつだってあげるよ そしたられみりゃはおなかいっぱい食べられるようになってゆっくり出来るよ そのかわりにゆかりんが冬を越すためのたべものをいっしょに集めてほしいの」 「うー♪れみりゃたべものいっぱいあつめるー!だからごはんごはんごはんー!うー!」 とにかくご飯にありつきたいれみりゃは躊躇せずにいい笑顔で即答した。 「ゆっ、れいむゆっゆっれいむぅ…!」 「ゆっ、ゆっまりさ!まりさぁ!」 「ゆゆぅっ、すっきりするぅ…!すっきりしちゃうぅ…!」 「ぎゃおー!たーべちゃうぞー!」 『ゆんほぉおおお!?』 粘餡を出しながら体をこすりつけ合わせている、要するに交尾真っ最中のゆっくり二匹を発見し ゆっくり近づいて茂みから飛び出したゆっくりれみりゃ。 「ゆ!すぐににげないとゆっくりできなくなるよ!」 名残惜しみながらもすぐさま体を離すゆっくり二匹。 その頬からは粘着質な糸が引いていた。 「ゆー…まりさたちにたりないのはの少女臭かしら あさましいしょうどうを抑えるための」 ゆかりんはれみりゃに抱えられながらそう言い放つと地を這うれいむとまりさに口から何かを吐いてかけた。 「ゆぐぅうう!?くさい!くさいよおおおおお!?」 「ゆ!ひどいよ!れみりゃもゆかりんもゆっくりしね!!」 納豆を頭にかけられたゆっくり二匹は捨て台詞を吐くと即座に用意していた逃走ルートを通って逃げて行った。 「うー!ま゛っでぇー!う゛ー!」 追いかけようとして思い切り転んでしまうれみりゃを尻目に二匹は後で落ち合って続きをしようと目配せをした。 「ゆー…臭いよ…れいむ…」 苦もなくれみりゃとゆかりんの魔の手から逃げ切ったまりさはゆかりんの吐いた納豆の臭さに辟易していた。 「ゆっくりけんじゃなんていってゆかりんもぜんぜんたいしたことなかったよ! あんなばかはゆっくりしねばいいのに」 ゆかりんに対して文句の一つも言わないと収まりきらない気分だった。 ああこんなゆっくり出来ない気分の時は早くれいむと落ち合って体を洗ってさっきの続きをしたい。 そのことを考えると体がぬとっとしてくるまりさであった。 「ま゛り゛さ゛にげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ゆ゛!?」 突如後ろから聞こえてくる声にその忠告を無視して思わずまりさは後ろを振り向いた。 「うー!ぎゃおー!たーべちゃうぞー!」 「れいむうううううううう!!!!」 まりさの目の前に居たのはゆかりんとれいむを両腕に抱えるれみりゃだった。 れいむの頭にリボンが外れかけて変わりに黒っぽいものが見える。 あれはなんだろうか、あの黒いものは。 「どうじでれ゛い゛む゛のあ゛んごがああああああ!!!」 「はいゆっくりでてきました」 恐怖に駆られ逃げ出そうとするまりさの前にれみりゃの上でから飛び降りたゆかりんが立ちふさがった。 「うーたーべちゃうぞー!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「ま゛りざああああああああああああ!!!」 ゆかりんを避けるか、それとも弾き飛ばすかを躊躇した瞬間、まりさの頭をれみりゃの手が掴んでいた。 こうなればもうまりさに逃げる手段は無い。 「どうじでえ゛え゛え゛え゛!どうじでみづがっだの゛おおお! ちゃんとにげだの゛に゛い゛いいいいいい!!」 絶望で包み込まれたまりさが考えたことは何故自分の逃げた行方がれみりゃにわかったのかということだった。 「まりさの少女臭をゆっくり追って来たよ!」 「うー♪くちゃいくちゃい!」 「臭くないよ!少女臭だよ!」 そう、れみりゃとゆかりんはまりさ達についた納豆の臭いを追って来たのだ。 なんということだ、ゆっくり歩かずにすぐにでも川に向かって体を洗うべきだった、とまりさは嘆いた。 「うああああああああああああ!!!! じにだくな゛い!も゛っどゆっぐりじだいいいいいいいいい!!!」 「ぎゃおー!たーべちゃうぞー!!」 「だべだいでええええええええええええ!!!」 「そんなにゆっくりしたいなら、いくらでもゆっくりさせてあげるわよ」 「!?」 「ほんとに!?」 生気を失っていた二匹のゆっくりの目に光が戻った。 「うー?だめ~、これはれみりゃのごはんー!」 「れみりゃもおなかいっぱいになれるはなしよ」 「う~?おなかいっぱいー!ごはんー!ごはんー!」 「ただしゆかりんの言うことを聞いたらだよ そしたらゆっくりさせてあげるよ」 片目を閉じて二匹を横目に言うゆかりん。 「聞きます!聞きますうううううううう!!!」 泣きながらまりさはゆかりんにすがりついた。 しかしれいむは警戒を解こうとはしなかった。 既に頭を齧られているので当然といえば当然だろう。 そんな二匹に対してゆかりんは言った。 「れいむかまりさの家族の居るおうちをおしえてくれたらゆっくりさせてあげるよ」 ニヤリ、とゆかりんの口元がいじわるそうに歪んだ。 「!ぜったいにおしえたりしないよ! れいむたちをたべるならゆっくりしてないでとっととたべてね!」 やはりそんなことだろうと思った、れいむは胸中でそう自分の命は諦め代わりに家族を守るために硬い決心をした。 絶対に家族を売ったりするものか、その想いはまりさも同じである。 「こ゛っち゛です゛!ごっぢに゛れ゛い゛む゛だぢのおうぢがありまずううううう!!!」 「ま゛り゛さ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」 と思っているのはれいむだけだったようだ。 まりさは顔中から餡子汁を流してニヘラニヘラと卑屈な笑いを浮かべながらゆかりんとれみりゃを案内し始めた。 ゆかりんはそれをみてケラケラと笑いながらついていった。 「まりさだよ!ゆっくりあけてね!」 「ゆ、いまあけるよ!ゆっくりしていってね!」 巣の中で冬の支度をしていたお母さんれいむは娘のれいむの友達のまりさが娘と共にゆっくり帰ってきたようなのですぐに家の扉を開けた。 「お゛があ゛ざんあげぢゃだめ゛え゛え゛え゛!!!」 「ぎゃおー!たーべちゃうぞー!!!」 「ぎゃあああああああああ!?」 扉を開けるとそこにあったのは娘とその友達の笑顔ではなく小さな、それでもゆっくりにとってはとても大きな手。 その手はお母さんゆっくりのおでこに5本の指を突き刺すとまるでみかんの皮でもはがすかの様に顔面の皮を引き剥がした。 黒い餡子にぽっかりと開いた空洞から断末魔が響き渡った。 「うー♪うま♪うま♪」 「いやー!」 「どうじでごんなごどずるのま゛り゛さ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「はなぢでええええええええええええええ!!!!」 次々と食べられていくれいむの家族達。 「ここはゆかりんのおうちにするから汚さないでね!美しくね!」 ぼろぼろと食べこぼしながら巣の中を漁るれみりゃのおしりにゆかりんが噛み付いて抗議していた。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!お゛があ゛ざんお゛があ゛ざんお゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!!」 「ゆー、騒がしくて美しくないからそのれいむももう食べていいよ」 「うー?うあー♪たーべちゃうぞー!!」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 ゆかりんからの許可が出て早速さっき付けた傷の辺りから餡子を吸い出すれみりゃ。 れいむは一瞬で全ての餡子を吸い出されて湿った皮だけになった。 「うー、あま♪あま♪」 まるでその皮はデスマスクのようで、その表情は恐怖と悲しみと怒りの全てが入り混じった恐ろしい表情だった。 人間を使ってもこうも見事なデスマスクはそう簡単に作れないであろう。 「これいあない♪ポイっ、するの♪ポイっ♪」 しかして残念なことに餡子を吸い出した後の皮にれみりゃは全く興味は無くその辺に放り出して その皮はゆっくり、鳥と虫の滋養となった。 「これでまりさはゆっくりできるよ!」 その惨状を後ろから見ていたまりさは全てが終わったと思い歓声を上げた。 その笑顔はとても清清しいもので、それを見て思わずゆかりんも微笑み返してこういった。 「あのまりさももう用が無いから食べていいよ」 まりさの笑顔が凍りついた。 「ど、どどどどどどどどどどどどど」 まりさはカタカタと震えだした。 交尾の時でもこの半分も震えないだろう。 清清しい笑顔は引き攣った笑いとなってまりさの顔にへばりついた。 思い切り泣きわめきたいのに涙だけが一筋こぼれても引き攣り笑いしか出来なかった。 「どっどっどどどおしてややややくそっそそくしたたたたたた」 「ゆー、たしかまりさとはこれが終わったらいくらでもゆっくりさせてあげるわよってやくそくしてたわね」 「!?そそそうだよ!わすれちゃだめだよ!ゆっくりできないところだったよ!」 ただ単に約束を忘れていただけなのだ、そう知って安心したまりさは引き攣り笑いをやめて再びあの清清しい笑顔をしようとした。 「お友達のれいむのところで、永遠にゆっくりしていってね」 「たーべちゃうぞー♪」 しかしそれよりも早く現実とれみりゃの爪がまりさを引き裂いた。 「うー♪おなかいっぱい♪うーうーうあっうあっ♪」 そんな風にゆかりんとれみりゃが協力して狩りを続けて一週間ほどが経った。 れみりゃもゆかりんの指導の下で大分野生の生活と魔法の森にも慣れて、頑張れば一人でも餌を取れるようになっていた。 特に姿が見え無いときは饅頭の臭いを辿ってゆっくりを捕まえればいいとゆかりんに教わったことでれみりゃの狩りの力は大きく成長した。 まあ野生のれみりゃ種やフラン種は本能で簡単にやってのけてしまうことではあるのだが。 「そろそろゆっくりしてないでゆかりんのごはん集めを手伝ってね!」 れみりゃも一人前になってきたのでそろそろ当初の予定通り自分の冬越え用の食料集めを手伝ってもらってもいいだろうと ここ二日ほどゆかりんはしきりにそのことをれみりゃに訴えかけていた。 「…うー」 「拗ねても駄目だよ!ちゃんと集めてね!約束だよ!」 しかしれみりゃはせっかく気分良く踊っていたところで怒鳴られて邪魔されて面白くない。 ここ二日間ほどはずっとそうだった。 れみりゃはそのゆっくりブレインで考えた。 もう狩りの仕方も覚えたしれみりゃがゆっくりするのを邪魔するこの納豆は要らないのではないか。 そうだ、もうこれは要らない。 「うー♪こえいらない!ポイっするの!」 「ズギマ゛!?」 思い立てばその行動はすばやかった、全くゆっくりしていない。 ゆかりんは森の木に向かって投げつけられた。 「ゆ…ゆぐほっ!?」 ゆかりんはずるりと地面に落ちて、口から納豆を垂らして咳き込んだ。 「うー♪くちゃいくちゃい♪こえいらなーい♪ぽいっ♪するの、ぽいっ♪」 れみりゃは今までの鬱憤を晴らすためにもう何度も投げて壊れるまで遊んでやろうとゆかりんの方へと歩き出した。 「鼻につくわ…そのゆっくりれみりゃ特有の上から目線…!」 ゆっくりゆかりんの目付きがそれまでのゆっくりした目付きから鋭い、肉食獣のような目付きに変わった。 しかしれみりゃはそれに気づかずに屈んで手を伸ばした。 ゆかりんは負傷しているとは思えないほどの速さでその手の上に跳ね乗るとそこからさらに跳び、れみりゃの鼻に噛み付いた。 「!?う゛あ゛ー!?あ゛ぐや゛ー!!!あ゛ぐや゛ー!!!」 予期せぬ反撃にしりもちをついて手をぶんぶんと振り回すしか出来ないれみりゃの鼻の中にゆかりんはプッと何かを吹き込んだ。 「!?!?!?!?!?!?!?」 れみりゃが目を白黒させる。 「う゛あ゛あ゛ああああああああああ!?ぐぢゃ゛い゛!ぐぢゃ゛い゛い゛い゛い゛!!!!!??????」 そう、ゆかりんはれみりゃの鼻の中に納豆を吹き込んで居たのだ。 「まったく、れみりゃ風情が、ゆかりんとの約束をやぶるのは絶望的にはやいわ」 ゆかりんはれみりゃの鼻を離して地面に降りると、冷めた表情でれみりゃに問いかけた。 「ゆっくりでていきましょうか?」 「う゛あ゛あ゛あああぐぢゃ゛い゛の゛おおお!!!あ゛っぢい゛っでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ほらゆっくりでていきました」 そういうと、ゆっくりゆかりんはどこからともなく現れたときのようにいつのまにか木々の間へと消えていった。 「う゛あ゛ー!!!ざぐや゛!ざぐや゛あ゛あああ゛ああ゛ああ゛あ゛!!!!」 「うー、うー…」 それから数日が経ち、何とか臭いになれて動けるようになったれみりゃは生きるために餌のゆっくりを探して何日もさまよい続けていた。 しかしゆかりんの下で覚えた狩りの方法は全くその効果を発揮しなかった。 れみりゃはあの鼻納豆で嗅覚を完全に破壊されていたのだ。 再生力の強いれみりゃ種でもここまで鼻の機能を壊されてしまえば臭いを追って獲物を捕まえることも出来ない。 目視できる場所からでは空腹で力の出ないれみりゃでは捕まえる前に逃げられてしまう。 れみりゃは着々と衰弱していた。 「うー…おなかすいた…さくや…さくやー………」 恐らくれみりゃが獲物にありつくことは二度とないだろう。 「さくや、さくや、さくや…」 遂に森の中でへたり込み、何度も飼い主の名を呼ぶ。 困ったときはいつもさくやが助けに来てくれた。 そのまま一歩も動かずれみりゃはさくやとの思い出を反芻し続けた。 「これかってもいいの?ありがとうおかあさん! よろしくね、わたしはあなたのかいぬしの○○○よ」 初めてさくやにあった日、まだ顔だけだったれみりゃにさくやは奮発してプリンをプレゼントしてくれた。 「もー!れみりゃー!散らかしたら駄目でしょ!」 れみりゃがおもちゃを散らかすとさくやはぷんぷんと怒りながらも代わりに片付けてくれた。 「れみりゃ、もうちょっとまわりのことを考えて迷惑をかけないでね お父さんとお母さんもちょっとれみりゃのわがままに迷惑してるんだから」 さくやは本当に心配そうにれみりゃにそう言った。 れみりゃにはよく意味がわからなかった。 「もうみんなに迷惑かけないって約束して、ね れみりゃだってがんばればちゃんと私との約束守れるよね」 さくやはれみりゃに不安で不安で仕方ないのを隠しながらきっと出来ると言った。 れみりゃは横を向いておやつを食べながらうんと返事をした。 「もう庇い切れないの!お願いだからもうお父さんとお母さんに迷惑かけるようなことしないで! 約束を守ってくれないと次は本当に…!お願いれみりゃ!私との約束を守ってぇ!!」 さくやは泣きながら、縋るようにれみりゃに頼み込んだ。 れみりゃはさくやに笑顔で返事をしてあげた。 その日の夕方ごろ、おかしはないかと食べ物を入れてある棚の中をぐちゃぐちゃにして結局おかしは見つからずふてくされてベッドで眠った。 朝起きると森の中に居た。 「うー、さくや、さくや…」 段々と、れみりゃにもわかり始めていた。 『拗ねても駄目だよ!ちゃんと集めてね!約束だよ!』 『まったく、れみりゃ風情が、ゆかりんとの約束をやぶるのは絶望的にはやいわ』 『約束を守ってくれないと次は本当に…!お願いれみりゃ!私との約束を守ってぇ!!』 「うー…ごべんな゛ざい゛…やぐぞぐやぶっでごべんな゛ざい…うー、うー…!」 ようやく、れみりゃにも何が悪かったのかがわかった。 「ざぐや゛ごべんな゛ざい゛…!やぐぞぐやぶっでごべんな゛ざいい…! う゛ー!ごべんな゛ざい゛ごべんな゛ざい゛ごべんな゛ざい゛、う゛ー!う゛ー!」 れみりゃは涙ながらに今までの自分の行いで裏切り、傷つけてきた人たちのことを想い心から謝った。 「やぐぞぐやぶっでごべんな゛ざいい…!ざぐや゛!ごべんあざい!ごべんあ゛ざいいい!ざぐや゛!ざぐや゛ぁ!」 飼い主の女の子がこの言葉を聞いたならばどれほど喜んでれみりゃを家まで連れ帰ってくれるだろう。 だがこの心からの謝罪がその子に届くことは無かった。 木々の枝葉の間から、鳥達が何も言わずにれみりゃが力尽きるのを見下ろしていた。 このSSに感想を付ける
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※CAUTION!! 個人的なゆっくり解釈が含まれております 分かりづらい言い回しとかあります 文才無いです ゆっくりは無垢で純粋な生物で決して悪意という類は存在しない。 だがそれが代えって問題なのだ。 悪意が無い故に罪の意識がなく、自らが正しいと考え、過ちを正そうとしない。 ゆっくりはただ純粋に傲慢で、 純粋に怠惰を貪り、 純粋に後先考えず暴食を繰り返し、 純粋に思い通りに行かない事に憤怒し 純粋に色欲に囚われ、 純粋に自分より優れている相手に嫉妬し、 純粋に強欲となり身分不相応の物を得ようとする。 ~悪意のないゆっくり~ 「ずるいんだぜ・・・くずのくせにはまりさよりずっとゆっくりしてるんだぜ」 とある人里の近くにある原っぱ。 その近くの雑木林の陰からゆっくりまりさが一匹、ある場所を睨み付けていた。 其処にいたのは一匹のめーりん、と彼女と戯れている人間。 めーりんの帽子には飼いゆっくりの証であるバッジが付けられており、 隣の人間はめーりんの飼い主なのだろう。 めーりん種は人語を話せないが高い知能を持ち、本能的に何かを守る習性がある。 しかし、ゆっくりは人間以上に異端を受け入れない。 飾りを失った同胞,奇形、それが自分の子であったとしてもだ。 故に喋ることの出来ないめーりんもそれに該当し、ほかのゆっくりからくず呼ばわりされている。 だが高い知能を持った数少ない良識を持つゆっくりは決してそのような差別もしないしする来もない。 それはゆっくりの無根拠な優劣感を持ち合わせていないのと同時に、 めーりんを虐げたゆっくりは大抵めーりん種とは仲の良いふらんの死に近い制裁を受けてしまう事を知っているからだ。 だが学習能力の低い彼らは決して一歩も進歩することなく異端を爪弾きし続けている。 だからまりさは許せなかった。 自分より劣っていると思っているめーりんが人間と仲が良く、 自分より劣っているのに自分よりもずっとゆっくりしている事に。 このまりさは子持ちの家族であり、それと同時にゲスだった。 まりさは性欲を持て余していた所に一匹のれいむに一目惚れし、 そのまま番(つがい)となりすぐに性行為へと走った。 そして大家族となり一時は幸せだった。 だがこのまりさはゲスだった。 大家族となると大量の餌が必要だったが生まれた子は皆植物型。 まりさはそれを利用し自分が赤ん坊の世話をしれいむに餌集めを強要させた。 れいむによって集められた餌は節約すれば3日は持つ量だった。 しかし、赤ん坊の世話で疲れたと無茶苦茶な理由と付け、大食のまりさは殆ど貪りれいむと子には殆ど行き渡らず、 子供達は足りないとれいむに罵声を浴びせる。 れいむが寝る間も惜しんで集められた餌の大半はまたまりさに食い尽くされ、 遂にれいむは空腹と疲労で過労死してしまった。 だがまりさはれいむの死の原因を分かろうとしないどころかれいむを役立たずと罵倒し、 れいむを死を悼むことなくれいむを食べた。 その時だった。過労の苦痛によりれいむの餡子は非常に甘く、まりさは初めて同族の味を覚えてしまった。 それから、舌の肥えてしまったまりさは草や虫では満足出来ず、対には自分の子を食べ始めた。 だが最後の子は食べる前に巣の外に逃げ出してしまい、まりさがその子を食べた時は巣の外、 近くに巣を持っていたゆっくりに見つかってしまった。 同族殺しは捕食種を除いたゆっくりの中では絶対禁忌、これを破った場合殺されるのが関の山だ。 だがまりさは饅頭を食べただけで同族を殺したことを全然自覚していなかった。 それにずっと巣の中に籠もりっきりの上に大量の餌を食べていたまりさはでっぷりと太っており、 運動神経も鈍くあっさりと捕まってしまい、他のゆっくり達から体当たりをくらい、石を投げつけられ、 日が暮れた頃には痙攣した饅頭となり、ゆっくり達はまりさをそのまま放置した。 後は捕食者の餌となるだろうと考えたのだろう。 まりさにとって此処が年貢の納め時だったのかも知れない。 だがまりさはしぶとかった。自分が命を奪った者でありながら生への渇望が尋常ではなかった。 まりさは自力で起きあがると近くの巣を襲い、巣の中のゆっくりと餌を貪り食い生きながらえた。 その後、隙を見計らい、此処のゆっくり達に復讐する為力を付けようと思い巣を出て行った。 そして今に至る。 「ごゔぉじでぎや゙ず・・・ぐずゔぉに゙んべんゔぉぐいごゔぉじでや゙る゙・・・」 今のまりさには逆恨みと言う名の憎悪しかなかった。 自分の過ちを理解していなかったまりさにとって、 自分が一番ゆっくりするべき存在だったのに、前にいた頃のゆっくり達にそれを妬みにされ理不尽な暴行を受け死にかけ、 今目の前には自分より劣っているくずめーりんが今の自分よりもとてもゆっくりしている事に非常に妬ましく腹立たしかった。 もはや今のまりさには理不尽な腹いせしか残っていない。 まりさはすぐさま人間とめーりんの後を付いていった。 そして、人間とめーりんは自分の家である民家へと入っていった。 まりさはそれを見逃さず、すぐにその家に入ろうとした。 今まりさの中ではくずと人間を殺した後この家を乗っ取り、自分が大いにゆっくりしようと考えていた。 だがそんな皮算用も無い無謀な計画もすぐ後に砕け散った。 「どういうことなんだぜ!はいれないんだぜ!」 今の今まで森の中で生活してきた上に最近まで引きこもっていたのだ。 留守を狙ったり窓ガラスを割って侵入するなんて知恵は持ち合わせて無かったのだ。 「い゙れ゙ぇゔぉぉぉぉぉぉ!!ばじざをゆ゙っぐじざぜぇろ゙ぉぉぉぉぉぉゃ!!」 自ら生み出した恨み辛みが募っていたまりさは、ただでさえ小さい堪忍袋の緒が切れ。 目をギョロリと見開き玄関の前で金切り声を上げた。 「誰だよるせーな・・・なんだゆっくりか」 その騒音に中の男が玄関の戸を開け、その声の正体がゆっくりだと分かると男は潰すために片足を上げた。 だがまりさはそれを見計らい、男の下をすり抜け民家へと侵入した。 まずまりさのやることはくずなめーりんを喰い殺しその後人間を殺す算段だった。 「おっと捕まえた!まったく隙がないたらありゃしない」 だが、ゆっくり自体移動のスピードはかなりおそい。 まりさはすぐに男に後ろから掴まれ捕まってしまった。 「ばなざぇぇぇぇぇ!!ばじざゔぁずぐに゙ぐずゔぇーり゙ん゙ゔぉごぞずん゙だゔぇぇぇぇぇぇ!!!」 ただでさえ大した思考が無い上に怒りで完全に餡子脳が回らず、 相手がめーりんの飼い主である事を忘れてしまっていた。 男は溜息を吐くと無言でまりさを持ったまま居間の方へと歩いていった。 必死でもがくまりさの目に飛び込んだのは、自分が殺すべき存在であるめーりんがいた。 「ぐずゔぇぇぇぇぇぇじん゙!!!びゔぁずぐごろじで・・・・・・・・」 一方的な仇敵の前に殺意を剥き出しにするまりさだが、その思考はすぐ真っ白へと変わった。 「ゔぁぶでゔぁんがい゙り゙ゅゔぉぉぉぉぉぉぉ!!?」 何故なら、めーりんの隣にはゆっくり総じて驚異でもある捕食種、ふらんがいたのだ。 それも体付き、その戦闘力はゆっくり基準では計り知れない。 「ほらよふらん、汚れないように外で遊んできなさい」 男はふらんにまりさを見せると無言で頷き、男がソレを投げつけるとキャッチし、庭の方へと駆けていった。 実は、このふらんも男の飼いゆっくりで、ゆっくりに虐められたかなんかして傷付いて倒れていためーりんを拾うとセットで付いてきたのだ。 それからと言うモノ、飼われてゆっくりしているめーりんに嫉妬したゆっくり達がめーりんに変わってこの家に住もうとほぼ毎日やって来て、 その度に男は4~5分しか保たないふらんの遊び道具になってもらっている。 だがこう何度も家にやって来てはおちおち出かけることも出来ない。 そこで、近くのゆっくりブリーダーの助言で、ふらんの玩具としての役割を終えたゆっくりの飾りを家に吊し、 飾りに付いたゆっくりにしか判断できない死臭でゆっくりは寄ってこなくなった。 しかし、このまりさは同胞の味を覚えてしまっている。 その為、ゆっくりの死臭は全くもって気にならなかったのだ。 それが災いだったのかもしれない。 「ゆっくりしねぇ!!」 「ぎゃぶぅ!!」 庭に出たフランはまず顔ど真ん中を殴った。 更に何度も殴りつけ、地面に投げつけると何度も踏みつけた。 その後まりさを拾い上げ、まりさはこれで終わったと思いきやそのまま地面にビタンビタンと打ち付ける。 そこでふらんの手が滑り、まりさは放射線を描きながら少し離れた所に落ちる。 まりさの体は完全にボロ雑巾のようで、体中にお出来た傷から餡子が漏れていた。 だが致死量じゃない、それだけがまりさにとって救いだった。 もはやまりさの怒りはもはや完全に有頂天だ。 兎に角自分の気に入らない、自分のゆっくりを妨げるヤツは全て皆殺しにするつもりだ。 「じぃぃぃぃぃぃぃぃゔぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 まりさは生まれ持ったしぶとさで起きあがると、同族を喰らった歯でふらんを食いちぎろうと飛びかかった。 「れーう゛ぁていん!!!」 傲慢な性格と煮えたぎった怒りがまりさの思考は完全停止し攻撃へと促し、それが仇となった。 ふらんは近くにあった木の棒を拾うと飛びかかるまりさを思いっきり殴りつけ、 その拍子に砂糖菓子作りの歯が何本か砕けてしまった。 その後地面へと叩き付けられたまりさをふらんは見境無く殴り続ける。 そして、棒が折れ折れた部分をまりさの眼球に突き刺し、帽子を破り捨て、髪の毛を引きちぎり、歯を全部抜き取り、 2倍に腫れ上がった溺死の禿饅頭となった所でふらんの攻撃は止んだ。 こんな状態でもまりさは性懲りもなく復讐の怒りを燃やし、こなまま死んだフリをし、 隙を見てふらんを殺そうと考えていた。 だがふらんはまりさが死んだから遊ぶのをやめたわけではない。 沢山遊んだ事で小腹が空いてしまったのだ。 なのでふらんは座り込むとまりさを掴む。 そしてまりさの体に牙をたて、餡子を吸い上げた。 「あまあまー!!」 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙・・・・ゆ゙・・・ゆ゙・・・」 まりさは体の半分以上の餡子を吸い取られた為、思考には怒りや憎しみは消え失せ、 痙攣した奇声を発する饅頭と化し、最後は物言わぬ革袋となった。 その後、男に呼ばれたふらんは皮を投げ捨て家の中へと入っていき、 入れ替わるように夕立が降り注ぎまりさの皮を完全に溶かしていった。 こうして、悪の限りを尽くしたまりさは見事な天罰を受け死んでいった。 だが、このまりさには決して悪意は無かった。 番を死なせた事も、我が子を殺した事も、めーりんに逆恨みをした事も、まりさには悪気の一つもなかった。 もう一度言うが、 ゆっくりは無垢で純粋な生物で決して悪意という類は存在しない。 だがそれが代えって問題なのだ。 悪意が無い故に罪の意識がなく、自らが正しいと考え、過ちを正そうとしない。 ゆっくりはただ純粋に傲慢で、 純粋に怠惰を貪り、 純粋に後先考えず暴食を繰り返し、 純粋に思い通りに行かない事に憤怒し 純粋に色欲に囚われ、 純粋に自分より優れている相手に嫉妬し、 純粋に強欲となり身分不相応の物を得ようとする。 そして、決して悪に染まることなく、己の罪を自覚しないまま、その命を散らす。 来る日も来る日も、ずっとゆっくりするために、この地に生を受けそして瞬く間に消えてゆく。 今日もまた何処かで、"悪意のない"ゆっくりは死んでいく。 どうもsageの人です。 ゆっくりって悪いこと自覚してるのか?と考えついて書いてみました。 他の駄作共 猫と踏み切りとゆっくりと ゆっくり苺大福 真のドゲスまりさ このSSに感想を付ける